第9話

ある程度の距離を保って、こっそり彼らの後をつけてみる。



こそこそとこんなこと、いけないのは分かってる。分かってるのに、足が止まらない。



やがて彼らは自販機とベンチのある開けたスペースに来た。



会社は半円筒状の形で、1階のエントランスから15階まで吹き抜けになっており、建物の中心を囲むように各フロアが作られている。



夢が先程渡ってきた廊下の他に、吹き抜けに面したガラス張りの廊下もあり、陽当たりもよく見晴らしがいいので所々に休憩所や喫煙所等が設けられている。



夢は休憩スペースの端に置かれた大きな観葉植物の後ろに身を潜め、この先へ行くか悩んでいた。



(どうしよう…ここまで着いてきちゃったけど、ここの廊下に出たら下のフロアから見えちゃうし…)

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