第三話 デートの待ち合わせ場所である公園で
「あれ、偶然だね。私もそのホットミルクティー買ってきたんだ。ほら」
デートの待ち合わせ場所である公園で二年前まで交際していた恋人は笑顔でそう話し、袋からホットミルクティーのペットボトルを右手に取り、僕へラベルを示した。
僕が右手に持っていたものと同じラベルのミルクティーのペットボトルを。
その日以降のデートで彼女は毎回、そのホットミルクティーが入ったバッグを左手に提げ、待ち合わせ場所である公園へ現れた。
「美味しいよね!」
あの時の彼女の笑顔は上空の太陽よりも眩しく輝いていた。
この日の雨空をも晴らすほどに。
当時の映像が流れ終わる。気づくと僕は思い出のホットミルクティーを右手にレジの前へ立っていた。目の前には従業員の姿。
「いらっしゃいませ」
従業員の言葉で我に返ったように思い出のホットミルクティーをカウンターへゆっくり置く。
「お願いします」
僕の声からすぐ、従業員がバーコードをスキャン。
雨が降っているからなのだろうか。普段耳にしているバーコードをスキャンする音は何故だかいつもと違って聞こえた。
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