第二話 あの子も好きなホットミルクティー

 「いらっしゃいませ」



 僕は傘を傘立てに置き、コンビニエンスストアの自動ドアをくぐる。僕の足はホットドリンクコーナーへ。


 どれにしようかと、視線を左から右へ移すと、ある商品に目が留まる。


 僕の手は無意識のうちにその商品へ伸びる。右掌に伝わる温もりはやがて全身へ。



 「あの子も好きだったっけ……。これ……」



 ホットミルクティーのラベルを眺める僕。


 あの頃と同じデザインのラベル。見かける機会がなくなったホットミルクティーだった。


 

 「久しぶりに見たな、このホットミルクティー……」



 これは偶然なのだろうか。



 「公園のベンチで二人並んでこのホットミルクティーを飲んでたっけ……」



 僕の頭の中に映像が流れる。



 あの女性とよく似た恋人と交際していた頃の映像が。

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