第25話

私が目を覚ました時にはもう、目の前にいたのは先ほどの彼ではなく、香だった。



「か、おる?」


「千夏。怖かったよね。でももう大丈夫。大丈夫だよ。心配いらないよ」


「う、ん、、、。えっ」


「ん?あぁ、大丈夫。眠ってるだけだよ、それに、もうすぐ父さんも来るよ」



目の前には私を連れ去った男の人が倒れていた。よかった、生きてはいるみたい。



「そう、なんだ」



ガチャ

と、私たちがいた部屋の扉が開く音がした。



「いやぁ、遅れてすまない。抜けるのに苦労してね。千夏。大丈夫だったかい?」


「う、うん。香のおかげで」


「そうか、それならよかった。じゃあ千夏。この部屋を出るとお母さんがいるから、先に帰っていなさい」


「う、うん。香、また後でね」


「うん、また後で」

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