第12話

「もう、千夏ってば今演劇してる人に見張れてるの?」


「・・.」


ぺろっ



「ひやっ」



驚いて変な声が出てしまった。



「か、香!?い、今。み、耳」


「だって僕の声が届いてなかったから」


「ご、ごめん!さっきの香のパフォーマンスが素敵だったからつい」


「ほんと?素敵だった?」


「うん!とっても!」


「千夏が素敵だって言ってくれるんならいいや。ふふっ」


「あ、次は私みたい。行ってくるね」


「うん。頑張って」



私が披露するのは去年作曲して賞を貰うことができた曲。この曲をピアノでひく。


本当なら歌うのだけれど、去年の曲なので歌うだけでは面白くないと言うことで、ピアノでパフォーマンスにすることにした。


この曲は辛いことがあっても良いことは必ずあることを示すために作った曲。実際私もそうだから。この曲を作る時、産みの両親。育ててくれている両親。香。思い浮かべる人はたくさんだけど、この曲にはその思いが詰まっていて、私はとても幸せな気持ちで演奏できている。

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