第9話

「うぇっ」



手首を掴んできた男の口から心配したくなるような声が出てきた。



「えっ、あの」



私が何かしてしまったのではと思って怖くて仕方がなかった。



「千夏。大丈夫。千夏はなーんにもしてない。千夏が怯えることはないよ」


「か、香」


「うん、香だよ」



私に優しく笑いかけて、買ってきた物を私に優しく手渡すと人が変わったように話し始めた。



「ねぇ、あんたらさ,俺の彼女が嫌がってんのに、なにしてんの?」


「は、んなの、知るかよ」


「知らねぇなんて言わせねぇよ。認めろよ?」


「俺らは別に何もしてねぇよ!」



今まで特になにもしていなかった男が話し出す。



「なに自分は無関係ですみたいな顔してんだよ?あ?バカなのかよ」


「んだと、テメェ」



香の発言が彼ら2人をやる気にさせてしまったようだった。



「いいぜぇ、それじゃあ,そこまで言うならそこの女をかけて勝負だ」


「俺とあんたらが?頭湧いてんのかよやってもいいけど、死んでも文句言うなよ?」


「当たり前だろ」


「ふっ、みなさん、聞きましたね?死んでも文句はない、と。ではこれはルールに乗っ取った勝負、と言うことです。ではスタートの相澤をどうぞ?」


「スタートだあ!」



勢いよく走ってきた男1人をまず簡単にかわしてしまう香。そして2人目の男も走ってくるご、香に向けたであろう拳は当たらない。

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