第10話 洞窟で幼馴染とキス
ダンジョン攻略を終え、帰り道に差し掛かると、夕闇が近づき洞窟の中は薄暗く静まり返っていた。
アレンとマリアは並んで歩き、さっきの激闘の余韻に浸りながら疲れを癒していた。
「ねえ、アレン。さっきの『ピュア・ブレイド』……本当にすごかったわね」
マリアがふと足を止め、感心したようにアレンを見上げた。
その言葉に、アレンは少し照れくさそうに肩をすくめた。
「あれは……君がいたから使えたんだ。マリアの力がなければ、浄化の一撃なんて無理だったと思うよ」
アレンの素直な言葉に、マリアは微笑みを浮かべながら首を振った。
「そうかしら?でも、アレンのおかげで私も安心して戦えたから……お互い様ってことね」
そんな和やかなやり取りの後、マリアは少し躊躇するように俯き、何かを考え込む様子を見せた。
「マリア?どうしたんだ?」
「……あのね、アレン。その『性行為』スキル……さっきのピュア・ブレイドを見て、思ったの。もっと力が得られるんじゃないかって」
マリアは赤くなりながらアレンにそう伝えた。
その瞳には真剣な気持ちが込められており、マリアの意図が冗談ではないことが伝わってきた。
「えっ、また試すって……本気か?」
アレンは思わず目を見開き、ドキドキしながら言葉を飲み込んだ。
前回の触れ合いで新たなスキル『ピュアブレイド』を手に入れたものの、また同じように力を得るためにマリアが協力しようとしてくれているのだと分かり、アレンの心は動揺でいっぱいだった。
「……今度は、キスとかどうかなって……」
マリアが囁くように言うと、その声にアレンは完全に戸惑ってしまった。
アレンは慌てて手を振りながら、少し動揺を隠せずに言い返した。
「いや、そこまで無理しなくていいよ!さっきも十分力をもらったし、無理にそういうことをしなくても……」
アレンの真面目な言葉に、マリアは一瞬驚いたように見つめ返したが、やがて柔らかい笑みを浮かべた。
「アレン、無理なんかしてないわ。私はね……アレンのことが、好きよ」
その一言に、アレンは言葉を失った。
マリアの真っ直ぐな瞳と心のこもった告白に、胸が高鳴りを抑えきれなかった。
マリアの頬は赤く染まり、マリアは少し恥ずかしそうにしながらも、しっかりとアレンを見つめていた。
「マリア……」
二人は自然と見つめ合い、言葉を交わすこともなく、気持ちが繋がっているのを感じていた。
マリアがそっと顔を近づけると、アレンもその誘いに応じて、マリアの唇に優しく触れるようにキスをした。
キスは最初は短いものだったが、次第に深くなり、互いの心がさらに強く繋がっていくのを感じた。
柔らかな感触と、お互いの温もりが伝わり、二人の間に温かな愛情が芽生えていく。
その時間がどれくらい続いたのかは分からなかったが、二人がようやく唇を離すと、アレンは顔を赤らめながらも満足そうな笑みを浮かべた。
「マリア……ありがとう。君がいてくれるから、俺もこんなに強くなれるんだ」
マリアも恥ずかしそうに微笑み、そっとアレンの手を握った。
「うん、アレン。私も同じよ。あなたと一緒だから、怖くないし、強くなりたいって思えるの」
二人の間には、言葉では言い表せない絆が深まっていた。
お互いの気持ちを確かめ合い、これまで以上に強いパートナーシップが生まれたことを感じていた。
やがてアレンが自分のステータス画面を確認すると、思わぬ驚きが待っていた。
新たなスキルこそ手に入らなかったものの、レベルが一気に8から10に上がっていたのだ。
「レ、レベルが……一気に10になってる……!?」
その事実にアレンは目を見張り、マリアも驚きと喜びで顔を輝かせた。
「すごい、アレン!レベル10だなんて、人間界では間違いなく最強の領域よ!」
マリアは飛び跳ねるように喜び、アレンと手を取り合って笑顔を浮かべた。
二人は再びハイタッチを交わし、これまで以上の自信を胸に抱いて次の冒険に向けて歩き出したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます