俺のスキルがセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした

第3話 追放の剣士、故郷へ還る

故郷であるエターナリア王国に戻ったアレンは、久しぶりに見る王都の光景に胸が少し締め付けられる気がした。

昔からの街並みや露店が軒を連ねる賑やかな広場を歩き、アレンは一軒の居酒屋に立ち寄ることにした。

「……まったく、あいつら……」

カウンターに腰を下ろし、酒を傾けながらアレンは小声で呟いた。

勇者パーティでの日々を思い返すと、今でも複雑な気持ちが湧き上がる。

特に、自分のスキルが原因で仲間に疎まれ、挙げ句の果てに『変態』呼ばわりされ追放されたことが胸に残っていた。

「俺はスキル『性行為』とか、職業『愛の剣士』なんて、16歳になった時から急に表示されるようになったんだよ。俺が選んだわけでもないのに、どうすりゃよかったんだ……」

思わず独り言が口をついて出た。

さっき飲んだ酒のせいか、少し気が緩んでいたようだ。

「アレン……？」

突然、後ろから懐かしい声が聞こえた。

振り返ると、そこには青と白を基調としたミニスカートに金色の刺繍が施された軽鎧を身につけた、幼馴染のマリア・グレイスが立っていた。

マリアはアレンを見ると微笑み、軽く手を振った。

「久しぶりだね、アレン。もう8年ぶりになるかな？」

「マリア……本当に久しぶりだな」

アレンはマリアの姿を見つめ、懐かしさが込み上げてきた。

幼い頃、二人で剣の修行をしていた時の記憶が一気に蘇ってくる。

マリアの優しげな笑顔や、どこかおっとりした雰囲気は変わらず、その中にも強い意志を感じさせる美しい瞳が印象的だった。

「ねえ、少し話しない？あの頃みたいに、森の中でゆっくりと……」

アレンは軽く頷き、マリアと共に静かな森の小道を歩き始めた。

二人きりの時間が懐かしく、話は自然と弾んでいった。

「それにしても……アレン、追放されてしまったって、本当なの？」

唐突に切り出されたマリアの言葉に、アレンは苦笑しながら肩を竦めた。

「まあ、そんなところだな。理由は例のスキルと職業のせいで、誤解されてしまってさ……」

アレンはスキル『性行為』や職業『愛の剣士』について、これまでの経緯を詳しく説明した。

アレンがどれだけその状況に困惑し、そして最終的に仲間たちから誤解されて追放に至ったのかを話すうちに、自然と口調が熱を帯びていた。

「俺だって、どうしようもなかったんだ。スキルがいきなり表示されるようになって、使わなくても俺の攻撃力はパーティ内で一番だったんだけど……イリスや他のメンバーたちにとって、そのスキルは受け入れがたいものだったらしくてさ」

マリアは真剣な顔で話を聞き、何度も頷きながら、アレンの手にそっと触れた。

「……大変だったんだね、アレン」

マリアの言葉に、アレンは少し救われたような気持ちになった。

アレンの過去と今をすべて受け止めてくれるような優しい眼差しが、心に響いた。

「それにしても、『性行為』って名前のスキル……なかなかすごいのを持ってるわね」

マリアは軽く笑い、冗談を言うように口元に手を添えた。

その飾らない反応に、アレンは少し顔を赤らめた。

「いや、笑い事じゃないよ、マリア！俺は本気で困ってるんだ。それに、何とかスキルを使わずに戦おうとしたんだけど、仲間たちはその存在自体が許せなかったみたいで……」

「でも、アレン、もしそのスキルを使えるなら……私と一緒に戦ってみない？」