第37話

「行ってくる!衣千夜」


「がんばれ、恵梨」


衣千夜のその言葉に私は大きく頷きスタート地点へと向かった。


「それでは、初めの合図は私が手を叩いたらです。いいですね」


今までのグループではよーい、初めと言う合図だったはず。手叩きなら、耳を研ぎ澄まさないと。


パンッ

勢いよく鳴った音に私反応し、7割程度の力で走り出す。そしてとりあえず1位へとなることができた。


出遅れたのは1人だけ、ならここから残りの3人を特に注意し、1位をキープしないと。



軽く後ろを見れば2位と3位にはあまり差はないようだ。


中間地点を超えたあたりで2位の子がスピードを徐々に上げてくる。見た感じ3位からの5位の体力はかなりギリギリのようだ。だがこの2位の子はまだスピードを上げられそうだ。



1位をキープしたまま残りは4分の1というところ。2位は全速力で来始めているようなので、私ももう少しだけ力を出してゴールした。



2位との差は1,2秒。危なかったと言える。



「恵梨、お疲れ様」


「う、うん。疲れたぁ」


呼吸が少し乱れちゃった。あははっ。


って。あ、私と走って2位だった子。あの子が夢で私に色々としてきたんだっけ?と言われてみれば今とっても睨まれてる。せっかくの綺麗な二重が台無しだと思うけど。まぁ、私に関係ないから放っておく。

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