第9話
そして食べ終わり私たちは勉強することにした
「それで、なにができないの?」
「文章問題の物語が」
「物語?」
「そう、筆者の考えとか登場人物がどう思っていたのか、とか。そう言うのがダメで」
「なるほど」
「うん。だから困ってるんだよね」
「例えばどの物語?」
「例えば、これとか」
そう言って見せてきたのは親子喧嘩の末に娘の態度や考え方が良い方向へと変わると言うものだった。
「それで最後にこの主人公はなぜ自分の考え方を変えようとしたのかっていう問題とかができないんだよね」
「感情移入みたいなのがにがてってこと?」
「多分そう言うこと」
「んー、そうだなぁ。じゃあ衣千夜の大切な人は誰?誰にも取られたくない、誰にも傷つけさせたくない。そんな人、いる?」
「、、、うん、いる」
「じゃあその人が相手だと思えばできるんじゃないかな。きっと大切な人を思えば意外と素直になれるよ」
「なるほど、参考になる」
すると
「恵梨ー!衣千夜くーん!お風呂入れるよー!」
「あ、お風呂だってさ、先入ってきていいよ?」
「いや、先入っていいよ、ドライヤーとか時間かかるでしょ?」
「いいの?ありがと、お言葉に甘えるね」
「うん、いってらっしゃい」
「うん、じゃあ部屋で自由にしててね」
「俺は、君が好きで1番大切だって言ったら、どうするんだろうな」
なんて言葉はお風呂場に向かった恵梨に、聞こえることはない
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