第29話

すると、

「おふたりともそんな易々と想いを伝えるものではないですよ?」

なんて言いながら扉を開けて来る。


「はい、どうぞ、ミルクティーです」


「ありがとう」


「莉久様もどうぞ」


「ありがとうございます」


りっくんは、夕優に少しよそよそしさがあるようで、

「莉久様、そこまでかしこまるものでもないですよ?莉久様の方が私よりも地位が高いと言うのに」


夕優が笑いながら話す。


その言葉をも遮(さえぎ)るように私は口を挟む。


「りっくん、夕優、ありがとね、あと、ごめんね」


「「え?」」


一つの言葉が重なる。


「私、羅衣に、騙されてた、んだよね」


「お嬢様、、、そんな悲しい顔をなさらないでください」


「そうだよ、莉里。それに謝るなんて、、、」


「だって夕優には迷惑かけたし、りっくんは、羅衣に命令されちゃってたんだし」

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