第4話 絶頂の跡

起きると私は自室のベッドの上であった。


森から出た時は昼間だったが、今は外が暗いから数時間以上眠っていたのかな。


(お兄ちゃん達が私を部屋まで運んでくれてるなら、パパに怒られないで済むけど…)


そう考えてると父が部屋に来た。


「姫香起きたか…。事情は既に聞いた、遊び半分で森に入ってしまったとな」


「うん…パパが運んでくれたんだね。それと禁忌って言われてる理由あんまり分からなくて…ごめんなさい」


父は困った表情で返答した。


「あぁ…言いにくくてな。こんな事になるなら正直に言えば良かったよ」


「やっぱり色欲の悪魔が原因なんだよね?」


父は真剣な表情で答えた。


「そうだ。そして森に入った女は絶頂が止まらなくなり、やがて死ぬ。私たちの祖先と誤って入った女が犠牲になったと文献に書かれてた」


私も兄達を背負い一時間程森にいて絶頂し続けてたから理解できる。


「でも私は死ななかったよ?」


「天笠家の開祖が女性で色欲の悪魔を封印したのだが、そこには悪魔の呪力に対抗するには精神力が強い事と記載されていた」


確かに絶頂で何も考えられないときに精神力で二人を助けようと頑張ったから身体が動いたような気もした。


「なるほどねぇ…それで何か言いたいことあるんじゃないの?」


父が言いにくそうにしているので私が聞いた。


「お見通しだったか…。これから対魔人との戦いが厳しくなっていくと思う。そこで俺や兄達が殉職したら、あの色欲の悪魔の封印はお前に託したい」


流石に呪力のない私には封印の呪符を作るのは無理な気がした。


父は私の考えていることを察したのか話した。


「呪力が無いのに大丈夫か?って顔しているが、問題ない。洞窟の外側の封印だけでも

数年は持つからな。その間に対魔省が対応するさ」


「なるほど…パパは私に絶頂しまくれって言うんだね!」


私は笑いながらパパを揶揄うようにして言う。


父は言いにくいのか無言で頷いた。


「じゃ、ゆっくり休めよ」


「オッケー!」


そして、部屋に居ずらいのか出て行った。


(それにしても凄い快感だったなぁ。また味わいたいような気もするけど…)



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


父が去ってから二時間程仮眠をしたら身体の調子が戻ったからか少しお腹が空いた。


(そういえば昼から何も食べてないや)


私は冷蔵庫に向かうとパパが作ってくれたサンドウィッチがあった。


毎日私が料理を作っているので、少し不器用だったが私のために作ってくれて嬉しく感じた。


そして大好物のツナマヨだったので、尚嬉しかった。


モグモグと食べていると兄達が深夜なのにリビングに来た。


「姫香起きたのか、もう大丈夫か?」


「俺達を運んでくれて、本当に助かった」


兄達が珍しくセクハラ発言もしないで真剣な顔をしていた。


(なんか調子狂うなぁ…)


「うん、私は平気だよ。本当に二人とも運ぶの重かったんだよ!一時間以上かかったんだから」


「その間、お前が色欲の悪魔の術式を受けてたんだろ?」


「そうだけど…」


「呪力さえあれば俺達と比べ者にならない対魔人になってただろうな」


「あぁ、剣術と七つの大罪の悪魔に耐えられる精神力があるもんな」


私は兄達が褒めちぎるので凄くムズムズしてきた。


「あーーー、なんでいつもみたいにセクハラしないの!」


私は少し大声で話した。


「お兄ちゃん達なんて、股間を体液まみれにしてたってのに。もうスッゴイ男臭かったんだからね!」


兄達も真剣な顔からいつものニヤけ面に戻った。


「なんだ、俺達双子にセクハラされて喜んでたのか?」


「全くそっちこそメス臭かったぞ」


「それな!」


次男の発言に長男も同意して笑いあっていた。


私は二人を見て少し安堵した。


「なんか、いつも通りに戻って良かったよ。でも身体が怠いのは事実だから、お風呂入って寝るよ」


「おう、俺達も入ろうか?」


「そうだな!」


「お好きにどうぞ~」


ベタベタした身体を早く洗いたくて、兄達に裸を見られようが、私の優先順位は湯に浸かることだった。


「「マジ?」」


兄達は普段の私の発言と違うことに驚いていた。

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