現代の夜叉

kuro32

始まり

第1話 特異点

佐護さご大学。

今年の春から通うことになった大学だ。特にやりたい事がこれといってなかったので適当に決めたのだが今ではかなり気に入っている。建物や設備は綺麗だし学食もかなり美味しい、それにトイレがいつも清潔だ。これはかなり嬉しい。

そんなことを考えながら歩いていると後ろから既に聴き慣れてきた声が聞こえてきた。


「おーい、どうしたんだよ龍之介、朝っぱらからそんなボケーっとした顔して?」

「失礼なこれが俺の普通の顔だよ。そう言うお前は朝から元気そうだな隼人。」


いつものように軽口をたたきながら俺に話しかけてきたのは島崎しまざき 隼人はやとこの大学に入ってから知り合った友人だがかなり馬があって今では差しで飯を食べにいくほどの仲だ。かなりノリが良く顔も良い。今はもう別れたらしいが入学してすぐに彼女を作ってたはずだ。


「まぁな、それが俺の取り柄だからな。」


ニカッと笑いながら隼人はそう言う。


「そろそろ講義始まるぜ、わざわざ遅れてやる必要もないんだから行こうぜ。」


「それもそうだな。」


俺は隼人と一緒に講義室に向かった。

講義室に入ると既に席がかなり埋まっていた。ほぼ固定となっているいつもの席に座り講義を受けた。

講義が終わり移動の準備をしていると隼人が話しかけてきた。


「いやー、今日も人気だねぇ、柏木かしわぎさんは。」


そう言っている隼人の目線の先を見てみると男に話しかけられている柏木 有紗ありさがいた。ロングの黒いストレートの髪、街を歩けばすれ違った男を全員振り向かせるほどのクールで整った顔つき。周りからは高嶺の花なんて呼ばれている。

そんな彼女は今日も男子学生に絡まれていた。


「柏木さ~ん、今日の夜暇~?俺らとどっか行かね~?」

「いい店知ってるから連れてってあげるよ」


「興味ないから、あなた達だけで行ってくれば?もう話は終わり?それなら、もういいわよね?」

━━━━━━━スタスタ


「うひゃー、取り付く島もないな。あいつら結構モテてるってのに興味なしかよ。」

「柏木さんも大変だな、毎日のように男から絡まれて。」

「龍之介はどうなんだ?」

「何がだよ?」

「いや、柏木さんのことどう思ってるんだ?」

「あぁ、見た目はいいと思うけど性格があれじゃなぁ。」

「だよなぁ、柏木さんって彼氏いるのかなぁ。いるとしたら彼氏の前ではどんな感じなのか見てみたいぜ。」

「いるんじゃねぇの?分かんないけど。この世の全ての男が嫌いな訳でもないだろ。」

「そんなもんかねぇ、ところで今日の昼飯どうすんの?」

「あぁ、今日も━━━━━━━━」


そして俺はいつものようにその日の活動を終えて帰途についた。

暇つぶしにSNSを見ていると現実離れした動画や写真が目に入った。


「なんだ?これ新しい映画かなんかの告知映像か?」


そこにはゲームやアニメで見るような背の低い緑色の生物、いわゆるゴブリンと包丁と鍋の蓋を持って戦う男の映像があった。


「CGにしては妙にリアルだな、しかしなんだよ包丁と鍋蓋で戦うって、もうちょっといい設定あっただろ。」


俺がその映像が少しリアルだったのが気になり詳しく調べてみようとしたときかなり大きい地震が起こった。


「おっと、また地震か今回のは結構大きいn―」


ゴゴゴゴゴゴゴ━━

地震が起こると同時に突如として目の前にゲームでよく見るようなthe洞窟が現れた。


「おいおい、マジかよ、なんだこれ。夢じゃないよな?どうなってんだよ。遂に幻覚でも見るようになっちまったか?」


いきなり現れた洞窟、その中に俺は何かに誘われるようにして入っていった。


――ピコン―― 挑戦者を確認。個体名:如月 龍之介。 適合を開始します。約30秒後に終了予定。挑戦者保護モードに移行します。30 29 28 ....







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