第29話 「休むこと」を恐れない

忙しさに追われる日々の中で、休むことに罪悪感を感じることがある。「もっと頑張らなきゃいけない」「休むのは怠けているように見える」――そんな考えが頭の中で渦巻き、疲れているのに無理をしてしまう。けれども、休むことは決して怠けではなく、前に進むための大切な時間だと、最近ようやく気づき始めた。


休むことを恐れる気持ちは、きっと「立ち止まることへの不安」から来ているのかもしれない。社会は常に「動き続けること」を求めるように感じられる。特にSNSやニュースを通じて、他人が頑張っている姿を見ると、自分だけが何もしないままでいいのかと焦りを感じる。でも、無理をして動き続けた結果、心も体も疲れ果ててしまえば、本当に大切なものを見失ってしまうことになる。


ある日、自分に「休むことを許す」時間を与えてみた。お気に入りの音楽を流しながら、何も考えずにソファで横になる。何かを成し遂げることを気にせず、ただその瞬間を味わう。最初は落ち着かない気持ちもあったけれど、少しずつ心が軽くなり、体がリラックスしていくのを感じた。その後、不思議と頭がクリアになり、普段は思いつかないようなアイデアが浮かぶこともあった。


休むことは、立ち止まるのではなく、自分を整える時間だと思う。疲れた体と心を癒し、次の一歩を踏み出すためのエネルギーを蓄える時間だ。無理をして動き続けるよりも、適度に休むことで効率が上がり、自分に余裕が生まれる。それに気づいてからは、「休むこと」を意識的に取り入れるようになった。


また、休むことを恐れないためには、「自分のペース」を大切にすることも重要だと感じる。他人と比べるのではなく、自分の状態をよく観察し、必要なときに休む勇気を持つ。それは怠けではなく、自分を守るための大切な選択だ。


これからも、休むことを恐れず、自分のペースで進んでいきたい。休むことで生まれる余白が、新しい発見や成長をもたらしてくれるからだ。休むことは、自分を大切にすることであり、人生を豊かにするための鍵だと信じている。

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