前のエピソード――第18話　ひとりでいる時間の贅沢

私にとって、「無理をしない」というのは大きな課題だった。日々の生活や人間関係の中で、他人に迷惑をかけたくない、期待に応えたいという思いから、知らず知らずのうちに無理をしてしまうことが多かった。けれども、無理を続けることで自分を追い詰め、心も体も疲れ果ててしまうことに気づいたとき、「無理をしない」ことがどれだけ大切なのかをようやく理解するようになった。

無理をしないことは、ただ楽をすることとは違う。自分の限界を知り、その限界を尊重することでもある。自分のペースで進むことで、自分にとって何が大切で、何が不要かを見極められるようになり、物事に取り組む際の気持ちが少しずつ楽になっていった。

「無理をしない」という決断は、実はとても勇気がいるものだ。他人からの期待に応えられなかったり、周りと違う選択をすることで、「自分はダメなのかもしれない」と感じることがある。けれども、自分の心と体を守るために時には「できません」と言うこと、休むことを選ぶことは、自分を大切にするための行動だと考えるようになった。

無理をしないことができるようになってから、私は自分の内面の声に耳を傾けられるようになった。どんなに小さな違和感でも無視せず、自分が感じていることを大切にすることで、自分にとっての「適度な距離感」を保てるようになった。そうすることで、他人と接する時にも自然体でいられ、心の余裕が少しずつ増えてきた。

無理をしないと決めると、不思議なことに他人の期待からも解放された気持ちになる。自分が無理をしないことで、他人もまた無理をしなくていいと感じられるような、優しい空気が生まれることがある。自分が自分を大切にする姿を見せることで、他の人にもその姿勢が伝わり、自然とお互いに思いやる関係が築けるのかもしれない。

無理をしないという勇気を持つことができるようになったことで、私は自分のペースで心地よく生きられるようになった。何かを諦めることや、少し休むことを恐れないで、自分の感覚を信じていこうと思う。無理をしないことで、自分にとって本当に大切なことを大切にしながら、これからも自分らしい生き方を見つけていきたい。