第10話 理解されない痛み

「理解されない痛み」というものがある。それは、言葉にするのが難しい感情や、表現しようとしても空回りしてしまう思いに満ちている。私にとって、障害を抱えながら生きることは、自分でもうまく言い表せないもどかしさの連続だ。誰かにわかってほしいと願っても、どこかで「どうせ理解されない」という諦めが混じっているからだ。


他人が何気なくしていることが、自分には大きな負担になるとき、その違いをどう伝えればいいのだろうか。仕事が思うように進まないとき、人混みの中で一人で耐えなければならないとき、過敏に反応してしまう音や光が頭をいっぱいにしてしまうとき、周りはその理由を理解できないことが多い。それどころか、「気にしすぎだよ」「もっと頑張れ」という言葉で片付けられてしまうこともある。


「自分が感じている痛みをわかってほしい」という気持ちは、常に胸の中にある。でも、それを伝えるための言葉を探すたびに、うまくいかないもどかしさに苛まれる。相手が善意で理解しようとしてくれているときもある。それでも、どこか噛み合わない感覚が残り、むしろその気遣いが苦しく感じることもあるのだ。


理解されない痛みを抱えながら生きることは、自分自身でその痛みを受け止め、抱きしめることでもあるのかもしれない。誰にも理解されないとしても、その痛みが自分の一部であることは否定できない。だからこそ、少しずつ「痛みも自分の一部だ」と認めることが必要なのかもしれない。それは、ただ孤独を感じるのではなく、少しずつ自分と向き合い、受け入れるというプロセスだ。


もし誰かが少しでも理解してくれるなら、それは大きな救いになる。けれど、理解されない痛みも、自分の世界の一部だと感じられるようになったとき、少しだけ生きやすくなるかもしれない。痛みを抱えた自分を否定せず、少しずつそれを「私らしさ」として受け入れることができれば、それが本当の強さなのかもしれない。

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