第11話 「できること」に目を向ける
障害を抱えながら生きていく中で、どうしても「できないこと」にばかり目が向いてしまう時がある。普通にできるはずのことができない自分に対して、悔しさや自己嫌悪が募り、心が沈むことも多い。周囲と比べて落ち込む瞬間や、自分を責める言葉が頭の中で何度も響く。けれど、そんな時こそ「できること」に目を向けることが、自分にとって大切だと感じるようになった。
できないことを嘆いても、それが急にできるようになるわけではない。むしろ、自分ができることを見つけ、そこに力を注ぐことで、小さな達成感を感じることができる。それは誰かから見れば些細なことかもしれないけれど、自分にとっては大きな一歩であり、自己肯定感を取り戻すための大切な要素だ。
例えば、文章を書くこと。私は頭の中に溢れる思いを言葉にして、一つずつ形にすることができる。自分の感情や考えをエッセイや小説に落とし込むことで、心の整理ができ、少しだけ前向きになれる。それは特別な才能ではないかもしれないが、自分にとっては唯一無二の表現方法であり、できることのひとつだ。
また、カラオケもその一つだ。気持ちを込めて歌うことで、心の中に溜まっていた感情が解放され、リフレッシュすることができる。音楽を通じて自分を表現することも、他人には理解されにくいかもしれないが、私にとっては大切な「できること」なのだ。
「できること」に目を向けることで、少しずつ自分を肯定できるようになってきた。それは完璧でなくてもいい。誰かの基準に合わなくても、自分にとって価値があると思えることであれば、それで十分だと気づいたからだ。日々の中で「できること」に目を向け、その積み重ねが、自分にとっての「普通」を築き上げる助けになっている。
できないことを嘆くことも、時には必要かもしれない。でも、それに囚われ続けるのではなく、「できること」に光を当てることで、少しずつ心が軽くなっていく気がする。自分にとってのささやかな喜びや成長を大切にし、これからも「できること」を見つけていきたいと思う。それが、私自身を支えるための小さな希望であり、未来へ向かう力でもある。
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