第3話 孤独という居場所
「一人は寂しいだろう」と言われることがある。でも、私にとっては、一人でいる時間こそが唯一の安らぎだったりする。人と一緒にいると、どうしても気を張ってしまうし、自分の本心を押し隠してしまう。周りに合わせて、無理に笑顔を作ったり、何でもないふりをしたり。その繰り返しが、いつの間にか心に重くのしかかってしまうのだ。
だから、意識的に「一人になる」ことが私にとって必要だ。孤独は、時に冷たく、寂しいと感じることもあるけれど、同時に自分を守ってくれる居場所でもある。誰の目も気にせず、好きなだけ自分の考えに浸ることができる。誰かに何かを期待されることもなく、ただ自分のペースで、心の中にあるものを見つめられる。
子どもの頃から、ひとりっ子だった私は、遊び相手もいなくて、自然と自分の世界にこもることが多かった。家の中でひとり、おもちゃや本と遊んでいる時間が、私にとっての特別な空間だった。そこで何かを想像したり、空想の友達と話したりするのが楽しかった。それは、私にとって自然なことだったし、今も変わらない。
大人になっても、その癖は続いている。ふと気がつけば、心の中で物語を作り出したり、誰にも言えない思いを頭の中で反芻していたりする。それは、孤独の中でしかできないことだし、私の心を支えるために必要なことでもある。孤独があってこそ、自分を見つめ直し、言葉にできない感情を整理することができる。
でも、時々、その孤独があまりにも深くて、そこから抜け出せなくなることもある。誰かに手を差し伸べてほしいと思っても、どう伝えたらいいのか分からない。そんなとき、孤独は心地よい居場所から、冷たく重たい鎖に変わる。だけど、それでも孤独がなければ、きっと今の私はいないだろう。自分自身と向き合う時間を失えば、もっと苦しい世界に迷い込んでしまうに違いない。
孤独は、敵でもあり味方でもある。そこに居場所を見つけることができるからこそ、私は今日も一人の時間を大切にしているのかもしれない。
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