第27話 ラストサマー
結局、犯人も動機も分からないまま日が暮れて、僕たちは帰ることになった。
服に着替え、それぞれの荷物を持ち、最後に写真をとって電車に乗る。
「また、行きたいね」
と、誰かがいって、みんなが楽しそうに賛同する。直射日光に当たり続けていたせいか、顔が少し赤い。きっと僕もそうだろうと思いながら、窓の外を流れていく景色を見る。海が徐々に遠ざかっていく。
向かいの席では杉崎が隣の女子と笑いながら話していて、まだ元気そうなその表情に驚かされる。僕は正直、もう眠ってしまいたかった。でも、寝たりすると隣の山本に叩き起こされるような気がした。家に帰るまでが遊びだ、みたいな感じで。
そう思いながら、外の景色を見てなんとか目を開けていると、しばらくして肩に感触があった。
隣を見ると、山本が静かに眠っていた。
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幕間 Side-B
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人生なんて、きっと意味はない。
だから一人でも生きていける。
そう、思った。
でも、そういう日々を過ごしているうちに、気づいた。
息ができなくなるほど、苦しかったことに。
泣きたくなるくらい、寂しかったことに。
だから、変わろうと思った。
このまま死にたくないと思った。
必死に変わろうとした。
そして───は変わった。
人生なんて、きっと意味はない。
今でもそう思っている。
生きる意味なんて、生きれば生きるほど、どこにも見当たらない。
だから、人を蹴落としてでも自らの願いを叶えることの、何が悪いんだろう──?
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