第2話

私がコンクリートの床に寝転がり横になって休憩していると、だんだんと日が沈み辺りが一気に暗くなる。

室内の気温も一気に下がり建物の中も寒くなってきた事で、私は一瞬だけ身をすくめ起き上がる。


R「そ、そう言えば、マッチがあったわよね。」


そう思いながら、リュックサックの中を探り、マッチの箱を取り出す。

マッチの箱を開けて中を見ると、中には沢山のマッチが詰まっていた。


R「あ!?」


マッチがあった事に安心したのも束の間、今更ながらここには、何も燃やす物が無いことに気が付いた私は、急いでバスタオルを見つけた建物に戻り中に入り、折れた木の枝や、燃やせそうな板を集め持ってくる。

この建物は、木の根が建物の中まで伸びてしまっているからか、木の根や燃やせそうな物が多く散らばっていた。


R「良かったわ。近くの建物にこんなにいっぱい燃えそうなものがあって。」


拠点に戻ってきた私は、溜め息を付いて腰を下ろし、持ってきた板材や木の枝をコンクリートの上に置いて並べる。その周りをコンクリートの破片や小さな石、床のタイルの破片で覆い簡易的な焚き火の場所を作る。


R「室内で燃やしても大丈夫よね?」


一酸化炭素中毒とかの心配はあるけど、壁にこんなにも大きな穴が開いているくらいなのだからたぶん大丈夫だろう。

それよりも変な動物が寄ってこないかが心配だ。

この世界の動物は、私の知っている動物といろいろ違い過ぎて、どの動物が肉食で人間を襲ってくるのか、それとも草食で人間を襲ってこない動物なのかが分からない。

本当は壁の穴を防いだり、何処か高い場所で身の安全を守れるようにして寝た方がいいのだろうけど、今更こんな暗い時間帯に移動するのは嫌だし、そっちの方が危ないと思う。

今日1日、この廃墟の都市を短い時間ながらも探索して分かった事なのだが。

床には健康な量のガラスの破片や木の根っこ、穴が開いている場所や、崩れそうな場所が多いため、暗いうちに探索するのは、とても危険なのである。


R「もっといろいろ探してくるんだったかも。」


食料や使えそうな物を近場で探索して、少し疲れていたとはいえもう少しいろいろ見て探索していれば、壁の穴を防げるものや、使えそうな物がもっと見つかったかもしれないと溜め息を付く。


R「まぁ今更よね。」


そう言いながら、マッチに火をつけてから、小さい火に息を少しだけ吹きかけて木の枝に火を灯す。火が少しずつ大きくなっていくにつれ、温かさが私を包んでくれる。


R「あったかぁい。」


温かい火で少し冷たくなった私の身体を温めながら、外の静けさを感じて少しだけ寂しさを感じる。


R「弱気になってちゃだめだよね。」

「ひゅ~ひょろろろろ。(鳴き声)」


その時、外の方から何かの動物の鳴き声が聞こえ、音のする方を見てみると、月明りに照らされた廃墟の都市が美しく映る。


R「絶景ね。」


何の動物の鳴き声かは分からなかったけど、お腹の空いた私はリュックサックから栄ヨーバーっていう名前のバーを取り出して1本だけ開けて見る。


R「リュックサックの中は、さすがに腐ったりしてないわよね。」


今更ながら、昼に見つけた缶詰を開ける勇気が出なかった私は、リュックサックの中にある貴重な食料に手を出してしまった。


パサ(食べる音)

R「うん........クッキー?というよりカロリーバー?」


ぱさぱさした触感と、ナッツのようなカリカリしたような触感が混ざり合い、ところどころでちょっと甘酸っぱいブルーベリーのような味も広がる栄ヨーバーを1本だけ食べほす。


R「悪くないわね。」


もっと美味しくない物だと期待していなかった私は、栄ヨーバーを食べ終え一息つき、ペットボトルの蓋を開けて水を少しだけ飲む。


R「明日は、もっと周りを探索しなくちゃね。」


そんな事を思いながら火からちょっとだけ離れ、ビニールに入った新品の大きなバスタオルを開けてそれに包まって目を閉じる。


「ひゅ~ひょろろろろ。(鳴き声)」


外からの動物の鳴き声と、焚き火の音がBGMのように室内で鳴り響く中、私はそのまま眠りについた。

パチパチ(火の音)


<寝る前にノートに書いた日記>

- 1日目 -

目が覚めると私は、見知らぬ公園のベンチの上で寝ていました。

その公園は、遊具や噴水が草木で生い茂り、人気のない公園でした。

ベンチの下に見覚えのあるリュックサックを見つけた私は、中身を確認してみると、このノートが入っていて、中を見ると私の名前が書いてありました。

Reiseライゼ

何処か聞き覚えのあるその名前が、私の名前である事を思い出しました。

それから私は、人気のない公園を抜けビルの立ち並ぶ都会を見て驚きました。

周りは、公園のように草木が生い茂り、道路やビルは所々陥没していたり、倒壊していたりしていて、何処か寂しさのある廃墟の都市になっていました。

今は、その廃墟の都市の中の建物を拠点にさせて頂いています。

近くの建物に、バスタオルや缶詰まであって、取り敢えず暫くの間は、こんな廃墟の都市でも生きて行けそうです。

どうか、明日は人に会えますように。


<持ち物>

巨大なリュックサック

in[ノート1冊、筆記用具(シャーペンと消しゴムのみ)、水の入ったペットボトル2本、栄ヨーバー3本、マッチ1箱]

サバイバルナイフ

マッチの箱1箱:49/50 (使用中)

バスタオル1枚 (使用中)

タオル2枚 (未開封)

1個:賞味期限:2014/06/23 カンパン100g (未開封)

1個:賞味期限:2028/09/12 サバっと缶 水煮 (未開封)

1個:賞味期限:2025/12/01 ウマっとコーン (未開封)

水の入ったペットボトル1本:60/100

※探索から帰ってきたときに、少し飲んだため消費中。


現在時刻:夜(?)

外の天気:晴れ。

気温:寒い(?)

健康状態:健康。

本作の主人公:R = Reiseライゼ

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