第2話 便利スキル
-side カルム-
--ガキン!ガキン!
ーーズザッ!ズザッ!
「相変わらずすごいな」
今俺たちは馬車で母親のコネを頼ってウェーメン王国に向かっている。
一緒に同行しているメンバーはSランク冒険者のアイリスさんとレオンの2人、父と母、妹のシフォンだ。
無事に出国し、隣国であるレイピア王国のへ向かう道中、Aランクのモンスターである複数体ワイバーンに遭遇したがあっという間に倒してしまったSランク冒険者2人に驚きの声をあげる。
「あら?あれくらいあなたでもサクサク倒せるのではなくて?」
「そうだな、カルムの実力ならパパっと倒せるだろ」
いやーどうだろう?今乗っている馬車は俺が作ったもので、確かにワイバーンくらいは軽く撃退できるような性能を誇っている。
ただ、俺自身が戦うとなると、あのすばしっこいワイバーンに対抗するにはそれなりの魔道具が必要だから俺専用の武器だと森ごと焼き払ってしまいそうだ。
それだと森林破壊になって木の精霊であるドライアドさんが悲しむ。そんなことはしたくないから、こういうのは環境を破壊せず丁寧に戦うのに特化したプロの2人に任せるのがいいと思うな。
「なんかまたズレたこと考えているような気がするんだが……?」
「奇遇ね、私もそう思うわ」
アイリスさんとレオンがジト目でこちらを見る。
そうだろうか?と言うか戦いながらこちらを見るのは危ないと思う。
「にーに!すごいね!モンスターがバッサリバッサリ!」
「ああ……うん、そうだね」
言葉がど直球すぎる。もっとオブラートに包みなさいよ。
両親と同じく病気だった妹のソフィアはすっかり元気になった。Sランク冒険者の2人がバターのように魔物を切っているのを見て大興奮なようだ。
もっと怯えるだろうなと思っていたが杞憂だった。
と言うか、事実なんだけどバッサリバッサリという魔物に同情のかけらもない擬音語使うあたりなんというか……冒険者の素質を感じる。元気になったのだし、今度2人に魔法とか剣とかを教えてくれるか頼んでみよう。
ちなみに、俺の両親は馬車で寝ている。
この馬車は……と言っても運転しているのは馬の精霊だが、凸凹な道でもほとんど揺れないようにできているのだ。空間魔法で拡張されていて家と同じくらくつろげる。
「おっ!終わったか!」
「ああ。回収頼む」
「はいよー!」
ーースッ
俺がワイバーンに手をかざすと、アイテムボックスにワイバーンが入っていく。
このアイテムボックスは特殊なスキルである。
ただでさえ特殊なスキルであるアイテムボックスなのだが、俺のはさらに特別だ。
その理由がフォルダ分け。
その場の通りモンスターや材料に手をかざしてアイテムボックスに入れるだけで、勝手にフォルダと呼ばれるファイルに分けておくことが出来る。
ちなみにこれは今持っている物の一部だ。
石材
◻︎各種属性の魔石200
(詳細を開く)
◻︎ミスリル500
◻︎アダマント200
◻︎オリハルコン100
◻︎精霊石50
木材
◻︎トレント500
◻︎エルダートレント200
◻︎エンシェントトレント100
「相変わらず、とんでもねえ容量のアイテムボックスだな」
「そうね、パーティにいるのといないのとじゃ天と地の差があるわ」
2人はこう言ってくれるが、このスキルは近年俺のおかげで物作りの国として注目を集めているが、軍事の国であるホーレ王国ではクラフトスキルはあまり役に立たなかった。
俺は今まで余裕はなかったが、俺が誘いを断ってきた他国では重宝しているところもあるらしい。
まあ、冒険者ギルドでは評価されていたので、それも宮廷内という狭い社会内での評価なのかもしれない。
これから行くウェーメン王国もその一つである。
そして俺には夢がある。
噂によると、世界には様々なダンジョンが存在するらしい。
フィードダンジョンでは飯を。
メタルダンジョンでは金属を。
メディカルダンジョンは薬の材料を。
それぞれの系統ごとのダンジョンはそれに関する色々なものが揃うそうだ。
そして、それぞれのダンジョンにはそれぞれの環境に魔物が存在してそれに関連する素材が取れるらしい。
「生態系についても色々調べたいなあ」
その一つ、メタルダンジョンがこれからいく隣国のレイピア王国にあるらしい。
「まあ、まずは宿探しからだな!」
目指すはものづくり大国!ウェーメン王国!
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