第4話 刻印
後ろから着いて来ていた幽霊を存在が食べ終え、俺達は事務所のあるビルへと帰って来た。
「此処なら安全です、上に上がりましょう」
「わかりました!
「だい、大丈夫です……」
このような体験に慣れている人ならともかく、今まで全く見てこないで初めて霊を見たなら仕方ないか。
【また来るぅ……】
2階に上がり事務所の電気をつけて2人を中に入れる瞬間、階段をペタペタと駆け上がってくる音が聞こえた。
2人に見せないようにしようとしたが既に遅く、スカートを履いた脚だけの霊が見えてしまった。
「ヒッ……」
「
直ぐさま俺の影から
【おやつだぁぁ!】
車を追いかけて来ていた霊は全て
謎がいっぱいあるが、一先ず2人から詳しい話を聞く方が重要だろう。
「さて、まずは自己紹介からだな」
「そうですね!
俺は
1番最初に自己紹介をしたのは
特に反応を返さず自己紹介をする。
「私は
「……」
待て、さっきまで泣いてたはずなのに自己紹介したら無表情になったんだが。
切り替えが早い、しかも立ち上がって冷蔵庫から開封してないお茶を取り出して飲み始めるという自由っぷりを見せつけてきた。
お茶を飲み一息ついての一言目が、
「詐欺師ですか?」
違う、というか霊に追いかけられたの見てるだろうし少しは信じて欲しいのだが…
どんどん視線が鋭くなっていく。
「親が警察官なので自首するなら今ですよ?
もしかしてさっきのもヤラセですか?
「はぁ……一応言っておきますが詐欺師じゃありません、本物の霊媒師です。
そこに居る
鋭い視線は変わらない。
心霊相談所設立して以来、信じてもらえないという意味で最強の敵かもしれない。
「はあ?!
「助けてくれたのは感謝する。
でも信じられない、ドッキリだと言われた方が納得できるわ」
うん、これは説得は無理だ。
この事務所に本物の相談をしにくる殆どの人は限界だったり、そもそも存在をなんとなく知覚できたりする人で軽く会話すれば怪しいと思いつつも信じてくれる。
だが
「
「もう呼んである」
「ありがと、それじゃ待たせてもらうわね」
全く信用のない俺に車で送られる事は嫌がると思ってあらかじめ呼んでおいた。
それに追いかけて来てたのは全部綺麗に
【そいつ帰る?水晶あげないと死ぬよぉ?】
ありそうですねぇ……
【マーク付けられてる、美味しくないけどドンドンくるよぉ!】
マーク?
そういえば腕を掴まれたって言ってたな。
「掴まれた腕はどっちですか?」
「は?」
「何かしら痕がついているはずだ、確認したほうがいい」
怪訝そうな顔をしながらも左腕を捲った。
「これって……」
驚いている、やっぱり痕がついていたらしい。
チラッと見た感じだと猫みたいな生き物の絵が腕に見えた。
それを確認したあと、
「今日は少し残れますか?」
「はい、一部屋貸してくれれば泊まるのでいくらでも遅くなっても問題ないです!」
何か聞きたそうな視線を感じるが、そちらに視線を向けると目を逸らす。
信じそうになったが自分自身に嘘だトリックだと言い聞かせているのだろう。
事務所の窓から外を眺めていると、ビルの前にタクシーが一台止まった。
「タクシーが来たみたいです」
「そ、そうですね」
「下まで送りましょう。
「はい!」
階段を降りる足取りは少し重そうだった。
「これを渡しておきましょう、信じなくてもいいので持ち続けてください」
「……盗聴器じゃないでしょうね?」
「普通の一般人がそんなもの手に入れられるわけないですよ、何処ぞのアニメは現実じゃないんですから」
「私はアニメみたいな経験したばかりなのだけどね?」
ふざけつつもしっかりと水晶をしまってくれた。
「学校で何かあれば
「あれが霊と言うならそこは倒すじゃなくて祓うじゃないの?設定の作り込みが甘すぎるわよ」
何故そこまで信じようとしないのだろうか、一周まわって信じてるんじゃないかと疑ってしまう。
「それでは」
「うん、一応礼は言っとく、ありがとう」
念の為タクシーが見えなくなるまで見守ってから事務所へと戻る。
【私の撒き餌がぁ……】
あの子がいた時とても嬉しそうに霊を食べてたし、
「工事現場に居たのはどれぐらい強いんだ?」
【ん〜……強いけど、なんか変だったぁ】
「変?」
【普通に生まれた奴じゃない、詳しくはわからないけど変だったぁ】
変か……
まぁ今日はお腹いっぱいになったみたいだし、明日調査に行くか。
「
チーズ入れてもいいですかー?」
「自由に入れろー」
と、その前に
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