幕間 友の祝福 ※主人公視点外※

 最初に祝福の儀に臨むのは俺からだ。


「汝、バンデルよ。神前に進みなさい」

 老司祭の前で跪くと、祝福の祝詞を奏上した。


 老司祭も頷きつつ、祝福の所作を取り終えると言葉を発した。

「汝、バンデルよ。如何なる精霊の祝福を受けるか? この台に両の掌を乗せよ」

 俺は老司祭の前に置かれてた石板に掌を乗せてその先起こる光景に期待を込めていた。


(早く輝きやがれって!)

 すると石板が煌めく様に光り輝き、その上に黄金色に彩られた文字列が浮かび上がってくる。


 老司祭は石板を見詰めつつ重々しく宣告した。

「汝、バンデルは土の精霊の加護を受けて、『落石魔法ロックフォール』の魔法の祝福を授かった。これを以って、聖会は王家に対して騎士爵の受爵を推薦する」

 俺は土魔法という一見地味な響きに失望を覚えたが、それでも受爵できることに胸を撫でおろしていた。


(これで家族もアイツ等二人位の面倒も見られそうだな)

 俺は柄にもなく司祭に対して騎士の礼を取りつつ出口の扉に向かった。


 扉の外の控えのベンチには、緊張し切った二人の姿が映った。

 ここでの私語は厳禁なので、小さくガッツポーズを作ってエールを送った。


(まぁ二人の事だから、大丈夫だろう)

 俺は静かに控えを後にした。



 ◆    ◇    ◆    ◇    ◆



 バンデルが大聖堂の大広間に戻って行った。

(あの様子なら、バンデルは無事に魔法の祝福を授かったようね)


「汝、アリシアよ。中へと進みなさい」


 なにやら胸騒ぎがして、急に不安感に襲われた。

 後ろを振り返るとアランティも緊張しているのを見て少しだけ気が楽になった。


(アランティを元気付けなくっちゃ)

 軽く手を振りながら、気を引き締めて神前へと進んだ。


 老司祭の前でドレスの裾を摘まみつつ、恭しく跪いて祝福の祝詞を奏上した。

 老司祭は頷きつつ祝福の所作を取り終えると言葉を発した。

「汝、アリシアよ。如何なる精霊の祝福を受けるか? この台に両の掌を乗せよ」


 老司祭の前に置かれた半透明の石板にそっと掌を乗せた。


(ひんやりと滑らかな感じね)

 すると石板がキラキラと光りを放ち始めて、台上に青い文字列が浮かんでくるのを見守った。


 老司祭は石板を見詰めつつ、重々しく宣告した。

「汝、アリシアは水の精霊の加護を受けて、『治癒魔法ヒーリング』の魔法の祝福を授かった。聖会は王家に対して騎士爵の受爵を推薦することも出来るが……」

 老司祭は言葉を区切り優しく問い掛け直す。

「聖教国で聖女として神に仕えることも出来るがどうかな?」


(わたしの願いは三人一緒に貴族になって王城区画で生活を送ることだわ)

「謹んで、王家に対しての忠節を誓います」


 老司祭は聖女の特権を幾つか口にしたが翻意する様子が無いと知ると静かに退出を促した。

 わたしは三人の約束を守れたことに誇りを感じていた。


 控えに残るアランティを見て後ろ手にピースサインを送った。


(後はアランティね。良い祝福を授かります様に)

 心の中で呟きながら控えを後にした。

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