第2話 完成、そして旅へ
転生してから約二ヶ月が経過した。腹筋も割れてきたし、顎周りや頬の肉も落ちた。心なしか身長も伸びたようで、10歳程度の子供にしては背が高く見える。
鏡を見ると幼いながらも整った顔が見える。いいね、だいぶイケメンになった。
モテるならこれを維持しないとな。
さて、体型の問題が解決した後に浮かび上がってきた問題が多数ある。
まずは髪形。現状ダサいと言わざるを得ない。俺は音楽家じゃないからな。この長い髪を短く整えたい。眉もそうだ。
そして次に、服だ。少しサイズが変わるたびに父、ゼルガ・ロックハートが勝手に選んで買ってきてくれていたが、正直センスを疑う。
首にヒラヒラしたものが着いた服しかない。俺はライオンじゃないぞ。
……とりあえず「くらいしす⭐︎らぶ」の前作、「ときめき⭐︎くらいしす」の裏ボス、グラン・ランバートが着ていた服を参考にしよう。
かっこいいといえばあいつだ。
黒を基調とした感じでだな……。
あとで自ら買いに行くとしよう。オーダーメイドの方がいいかもしれんが。
そこはおいおい考えよう。
次に髪型だ。俺は現状クソ長い金髪だからな。これをなんとか短すぎない程度に短く整える。
運動系っぽい見た目になるのは俺の本意じゃない。
うまく調節していこう。
あとは眉毛現状生え放題だ。髪に合わせて整えよう。
◇◇◇
一月ほど苦労してようやく。なんとか見た目は完成した。
我ながら良い完成度だと思っている。これはモテるに違いない。
そう思っていたが、夕食の時間にまだ俺は未完成であることを思い知らされた。
我が家、ロックハート家は家族仲は良好であると言える。実際、父ゼルガ、母カミラ、妹ラミリス、そして俺の4人で食卓に着く。
そこにテーブルマナーは存在していない。両親曰く、面倒だから。
それに呆れた顔で妹は完璧で美しい所作で食事をしている。
妹を見て俺は思ったのだ。貴族としての所作、教養が俺には無い。が、それは必要なものであると。
翌日から俺は父に頼んで家庭教師を雇い、勉学の時間を増やしてもらった。
マナーの講義はとても厳しかったが、身につければ妹のように美しい所作が手に入るのだと思うと身が入ったものだ。
また、マナー以外にも、知識はあって損はないと思ったので、歴史や経済、政治などの勉強にも手を出した。
普通は14からやるそうだが、先に身につけておくのも悪くはない。頭いい方がモテそうだろ?
目標は王立学校に入学する12歳までに学校で学習する範囲を終えること。
ん? それじゃあ何のために学校に入るんだって? モテるために決まってるだろ?
俺の11の誕生日を迎える頃、転生してから半年ほどにして、ようやく貴族の教養を身につけることができた。
後は1年かけて学校でやる範囲を終わらせること。それで俺の目標は達成される。
モテモテの人間像まで、あと少しと言うところまできたのだ。
最近は妹も俺の評価を変えてきている。
手応えは確かに実感できているのだ。
くくく、この調子で続けていけば夢のモテモテ生活が手に入るぞ……。
そうして勉強を続けているうちに決闘の歴史の範囲に入った。
そこで思った。あれ、俺まだ戦闘技術ゼロじゃん、と。
モテる要素は全て完璧に持っておくべきだと思っている俺は思い立った翌日から剣術、魔法を学び始めることにした。
父に頼むと、公爵家の私兵の偉い人、そして、王都の高名な魔法使いに教えてもらえることとなった。
父には感謝している。どんな環境でも用意してくれるからな。さすがは公爵と言ったところだ。
魔法を教えてもらう前に適正属性の検査を行ったところ、4属性の適性があることがわかった。普通の人は属性1つが基本なので、やはりクソデブには才能があったようらしい。
火、氷、雷の属性に強い適性を、光魔法に微弱な適性だ。
嘘だろ、微弱な適性であんなに強かったのかゲームのクソデブ。
そこから俺は優秀な師の指導を受けて、そこそこ強い魔物も倒せるようになったし、対人戦ももうすぐ師を越えるというところまできた。
この体は優秀らしいな。
まぁ、それでもここまでくるのに半年かかったが。
あと半年で王立学院の入試がある。絶対受かる自信もあることだし、入学前にレアアイテム集めでもしておこうと思う。
モテることにかまけすぎて忘れていたが、俺には原作知識が豊富にあるのだ。
強力なアイテムが手に入るクエストやダンジョンなど、全て覚えているぞ。
モテるための強さの面を完成させるためにレアアイテムを集めに行く。そして勉強をかかさない。
ああ、入学試験では主席を狙うぞ。
予想以上に主人公の勇者が仕上げて来ない限り、俺の主席は確実だとは言えるが。
さて、それでは出発しよう。レアアイテムを求めた旅へ。
ちなみに、この旅が終わればそのまま入試に直行するので、しばらくはロックハート公爵領には戻ってこない。
夏休みの帰省でまた会おう、我が家族よ。
ずいぶんと俺への評価が変わったのは嬉しいが、泣いてまで引きとどめるのはやめてくれ、我が妹よ……。
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