第2話

また、来てしまった。


昼間も。

そしてまた、夜の今も。


オジサンは扉が見える場所に。扉は、不思議な事に壁や建物が無く、扉だけ。

いつもドアノブ側。オジサンが怖く氣になる裏側へ回る勇氣が出ない。



学校の行き帰り、塾行く前、そして。今。

氣がついて、足がブルブルする。

誰もこんな変な扉に氣に留めていない。

こどもだったら、あれを開けて好きな場所へワープしないかなぁとかいうし。

扉まで来た大人も子供も、停止ボタンでも押したように一旦停止して、すぐ向きを変え歩いて行く。



「僕、この扉みえるの?」


ぎゃあーっ。

オジサンだ。

固まって、ら目を逸らして、さりげなく反対へと足を出すが。

体が動かない。

震えが止まらない。


どうして。どうする。

怖い。助けて。


「ほら、僕?こっちを向いて」

首が回る。

足が反対に動く。


冷や汗が止まらない。

そして、喉が。

喉が渇く。


「嘘はいけないな、見えているだろう、俺が。昨日目が合ったろう?なあ。ほら水だ。やるよ。」


君はこの数日水飲んでないだろう?と、

暗闇ながら、光る目で差し出されたそれは、美味しそうで。喉がなる。

そうだ、飲んでない。飲まないと。

腕が動き飲み干す。


視界からオジサンが。

消えた。

いや、眠いんだ。寝よう。

寝てしまおう。

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