第17話 ゴックンボディに乾杯
◇◇◇
――深淵迷宮(アビスダンジョン)「拠点」
シャアー……
シャワーが石鹸の泡を流していく。
(…………うん。やっぱ、めちゃくちゃエロいッ!!)
深淵(アビス)に追放されて1ヶ月が経った。
何度見てもエロすぎるセシリアの風呂を覗くのも30回を超えたことだろう……。
ゴクッ……
ふむふむ。たまりませんなぁ〜……。
久しぶりのレティアノールを貪り尽くしているというのに、ムラムラが押し寄せて……………、
――ル、ルシ君ッ!! んんっ! ぁあっあっ! かっ、たいッ……! おっきぃーよぉっ! こ、壊れちゃうッ!!
…………………………ふぅ。
流石に大丈夫だわ。
だがそれとこれは別。
セシリアの身体は芸術だ。俺は性的な欲求を求めているのではなく、芸術に嗜む時間を求めているんだな、うん。
そ、それにしても、レティアノール。
アイツは困った奴隷だぜ、まったく……。
日に日にセシリアからの視線がゴミを見るようなものに変わっていっているというのに、340年ぶりのレティアノールがエロすぎて猿になっちまう。
以前と比べると関係性は天と地ほどの差があるが……、
――こ、これであってるかな……?
……いや、関係性が違うからこそ、上のお口での奉仕も仕込んでいけるってものか……?
ザパァン……
セシリアは湯船に浸かるとへにゃ〜っと頬を緩める。
いつもは緊張……いや、単純に俺に厳しい視線を向けてばかりだから、こうして緩んでいる顔を見るのはこの時だけだ。
いつも張り詰めている【聖女】でも特製の檜風呂の前では無力……。
ふっ……、やはり、風呂は偉大だ。
今のところセシリアへの言動にはちゃんと対応している。セシリアとはなんだか出会いから拉致まで色々あったが……、
――漢(おとこ)たるもの自分の言葉には責任を持て。
“ジジイ”との約束は現在進行形で守ってる。
(…………)
だが、なんというか……。
ここのところよろしくないのは、ノアの女連中にレティアノールの存在がバレた事と、ハルマからの……いや、“ノア”からの深淵(アビス)に関する情報が薄い事……。
【錬金術師】(仮)の資料はレティアノールの助力もあってほど解析できているし、クリスタルゴーレムの生成もレティアノールがいれば時間の問題。
闇属性以外の特級魔法……いや、特級魔術を操る【魔女】がいれば鬼に金棒。ちなみに、魔法は自身の魔力を操り放つもので、魔術は自分の魔力で周囲の魔素を変換するものだ。
どちらも無縁の俺はレティアノールの有用性(さいのう)に泣きたくなった……、
(というより……、1番は“コイツ”が憎たらしい……)
俺は湯船で気が抜けているセシリアを見つめる。
俺の魔力には“属性”がない。
セシリアの魔力には“光”と“聖”……、“黄色”と“白”。それも聖属性に関しては世界でも最高峰の『質』。レティアノールも絶賛してたし、やはり【聖女】ってやつはモノが違うのだろう。
そもそも、本当に【聖女】なのかも怪しい。ハルの【覇王勇者】のように、ただの【聖女】ではない可能性が濃厚になってきた。
「はぁ〜……」
コイツは俺が数100年かけて身につけたモノも、数ヶ月で身につくのだろう。
「ふざけている」
まさにこの一言に尽きる。これだから反則(チート)持ちは……とぼやきたくなるのも許してほしい。
俺の経験は、検証は、実験は、その結果は……、俺の財産だ。
俺は『努力』しかできない。
“才”がない俺にはそれしか許されない……。
だが……、この1ヶ月で、この【聖女】様は。
このたった1ヶ月。……俺の『財産』をつぎ込めば、間違いなく世界でも上位の力を手にする片鱗を見せつけてきやがる……。
「はぁ〜……。とはいえ、これには感謝せずにいられませんね。はい……」
湯船を堪能しているセシリアの『芸術』をワイン片手に堪能するのが日課になりつつある。
(……けしからんのは『才能』だけじゃないな。マジで……)
結局、俺は“クズ日本代表”。
ヒロインとして欠陥があっても、目の前に「異世界ヒロイン」の全裸がありゃ、大抵のことはどうでもよくなるもんだ。
エルフ、ケモ耳、吸血娘……、そして、魔女。
忘れちゃいけない高級娼館のアンジェとルイーゼ。
この世界に来て6人の女を抱いたが……、
(【聖女】も……いいよなぁ〜……)
俺が、志村の○んさんになるのも無理はない。
何十回見ても、「ブラボー」の一言に尽きる。
もうほんと、ご馳走様ですって感じだ。
(ぅん……来世は【勇者】になろう……!)
というのも……、一向に惚れる気配のないセシリア。
これはもう異世界転生のヒロインとして欠陥があると判断するしかないだろう。命を救ってもなお俺に惚れないご都合主義ガン無視の絶世の美女。
……だ、だが、しかーしっ!! いくらアブノーマルな性癖を持っていても、処女じゃないクソビッチでも、一度でいいから抱きたい身体なのだッ!!
綺麗な形のおっぱい。まるで使われたことのないようなピンクちゃん。鎖骨もエロい。くびれがたまらん。キュッとしながらも女を感じさせる尻。しなやかに長い四肢。細すぎないところもグッド……。
男性諸君……。いや、同志たちよ……。
声を大にして叫びましょう。
なぜ俺がこんなに堂々と覗いているのかを考えれば、同士たちにはピンとくるものがあるはずだ。
男なら……いや!! 漢(おとこ)なら!!
みんな一度は見たことがあるはずだ。
じゃあ、いくぞ! さん、はいっ!!
(マジックミラー考えたヤツ、天才かよッ!!)
もう日課になりつつある風呂のぞ……いや、芸術鑑賞プラス護衛!!
もちろん、欲望のままに風呂場を改造し堂々と風呂を覗くのはギリギリアウトなのだろう。
だが、ここは深淵(アビス)……。
“現存する地獄”……なんだろ……?
俺は“生きて帰す”と約束を交わしているのだ。
不足の事態に備え、護衛しているのだ!!
俺はコソコソなんてしていない。
ジジイの遺言は死んでも守るのだ!
「はぁ……肩が重いですね」
もにゅ、モニュッ……
「……ここに来て大きくなってる気がするのは気のせいでしょうか……? なにか作用していたりするのですかね……?」
自分でパイパイを揉むアブノーマル聖女。
ゴクリッ……
こ、ここ、これは遺言を守っているのだ!!
『言葉に責任を持つ』……。
俺は今、それを体現しているのだ!! こちらからしか見えない鏡の前で堂々と姿を確認しているのだ!!
湯気が邪魔だし見えそうで見えないところもあるが、俺は湯船で気が抜けているセシリアを見つめ続ける責任がある!!
「さ、触れないゴックンボディに乾杯……」
チンッ……
俺はマジックミラーにワイングラスを合わせて、芳醇な香りを持つノア産のワインを口に……、
(なっ…………、んだとぉ……!!??)
き、来たぁあ!! 来ました、来ましたよぉ!! みなさん! 安心してください! 履いてませんよ!
な、なんてことでしょう!!?? は、履いてないセシリアさんがこちらに歩いてくるではありませんか!!
「……??」
お、おぉ〜……。目の前で小首を傾げて……。
か、鏡を覗いていらっしゃる……。
自分の顔しか見れないだろうが、俺には……。
(す、すす、素晴らしいです、はい……)
ポタポタポタッ……
ワインに口をつけたが、地面にシミを残すばかり。……も、もう嚥下すら億劫だ。
だ、だって……、ち、近くで見るとやべぇな!
ク、クク、クソッ!! ゆ、ゆゆゆ、勇者め! この身体を好きにやってやがったのか、もう一回くらい殺さないと割に合わな……、んん……??
ピトッ……
……セ、セシリアさん?
か、鏡に手をつけて何をしていらっしゃるのかな……?
「《聖浄化(ホーリーパージ)》……」
ポワァア……
「…………ん?」
ま、待て待て待て!!
“これ”は魔力でコーティングしてッ……!!
ぜ、絶妙なバランスで保ってるんだぞ!?!?
ちょ、待っ!! や、やめっ!! に、逃げっ……!!
パッー――!!!!
眩い光が照らせば、ただのガラスが目の前に。
「「………………」」
「……は、ははっ……。セ、セセ、セシリアさん……湯加減はどうですかね……? ハ、ハハハッ……」
「…………なっ、にをしているんですかぁ!!」
パリィーンッ!!!!
セシリアは木で作った桶で鏡をぶっ叩いた。
《浄化》により魔力が乱れてただのガラスになっているんだ。……そ、そりゃ、割れるよね。
グザッグザッグザッ……
ガラスの破片が俺に刺さる。
聖女の裸をツマミに飲みすぎたのかもしれない。確かに血流が良くなってたよね。パンパンだったし……。
ドクドクドクッ……
……あ、ありゃ?
脈打つごとに血がピューピュー出てない?
あれれぇ〜……?
初めて直視したけど……。
セシリアの裸ってなんかぐにゃぐにゃしてない……?
ドサッ……
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