第5話

日々を送る中で有咲との日々が当たり前である一方で夜中になると夢を見ることも多かった。


そう。あのあいつの夢。


『未練』がある。というのが本当の所。


でもあの頃、僕はあいつに対して優越感や支配感もあったが同時にあいつの過去の相手に対する言い表せない劣等感もあった。


あいつの顔を見る度に、声を聞く度に、


『比較されてる』という被害妄想があった。

『負けている』という絶望感があった。


だからいつの間にかあいつの目を見れなくなって会わなくなって、記憶さえも消そうとした。


でもあいつは不思議と僕が限界を迎えると必ず現れる。現れて好き勝手させてくれる。

そうする事で僕はまた前を向ける、明日を生きられる事を知っているから。


でも同時に他のひとには絶対に出来ないことも知っていた。


でもいつも、怖くて怖くて仕方なかった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る