第4話

有咲との日々は凄く落ち着いていて、

安定していて、また楽しかった。


でもたまに彼女の寝顔を見ている時に、邪悪にも手が彼女の首へと向かってしまいそうになる。



────────────数年前。


「……やめないで」

「やめないけど?」

「…いいんです…このまま…」

「…やめた。もういいや。」


女は咳き込みながら切なそうな目で僕を見ていた。


そんな女を僕は無理やり引き寄せてキスした。


それだけで女は体を弓なりにして震わせていた。



「ごめんなさい…冷めさせてしまって…」

「そうだな。」


僕はその返事とは裏腹に抱き寄せて頭を撫でていた。


でもそいつとの終わりは来た。



僕が他に女を見つけたから。

有咲からすると何人か前。


でも、誰一人としてその女の様な扱いを出来る相手にはならなかった。




───────────────。







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