第2話
あの日から有咲の家に帰るようになった。
そして1ヶ月が過ぎた頃、僕は駅で待ち合わせして反対方向の僕の家に連れていった。
──────────────自宅。
「有咲、その袋貰って。」
「え?なに?あたし誕生日まだなんだけど。」
「一足先に一個歳食っとくか?」
「いい。遠慮しとく。…ってかなんで?どうゆうこと?」
「いいじゃん。サプライズくらい。」
「…見ていいの?」
「是非。」
「…してくれないの?…ほら、ああいうの。」
「…やっていいの?」
「あたしが欲しいなら?」
少し笑いながら聞いて来たが僕が真面目な顔して答えると真面目な顔で返してきた。
「…その前に。」
「……。」
僕は彼女を引き寄せて頭を撫でた。
少し意地悪して目を見ていると、
「あたしから言ってもいいけど」とさらに上から来たので、
「それは嫌。」
と囁いて彼女にキスした。
「……有咲。お前は誰でも行っちゃえるからな。俺からしたら世界中が敵だ。」
「…あんたもでしょ。」
「え?…」
「自分で気付いてないだけ。あたしは気づいてる。」
「……」
「いいよ。認めなくても。でも、あたしはあんたを誰にも渡さないから。たとえ動物でも、」
「…犬飼っちゃダメ?」
「どうせあんたが買うのは『小さく育つメス』でしょ?ダメ。許さない。あたしより可愛がるのが目に見えてる。」
「……良かった。」
彼女は僕の言葉の意味をブレる事無く理解してくれていた。
「早く。あたしにつけてよ。」
「本当に焦らされるの嫌いよな」
「あたし、Sだから。」
「俺、今凄くね…」
「わかったから早くして。」
───────────────。
「…ねぇ、本当に後悔しないの?」
事後、生まれたままの姿で彼女を包み込んでいた。
「しない。」
「あんたの親だって考えるんじゃない?」
「育てのじじばばしか居ない。」
「親は?」
「亡くなってる」
「両方?」
「そう。」
「……。」
「…だからお前の痛みがわかるの。」
この時いつも強気な有咲が小さく震えていた。
「大丈夫。この部屋返して有咲のとこ行こうと思ってたから。もうお前を一人にはさせないよ。」
「……」
有咲の顔は不安で一杯だった。
「その顔俺だけにしろよ。…マジでやりたくなるから。」
「……」
彼女は少し微笑んで僕に口付けた。
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