第4話
倒れたゴブリンの周りを確認すると、そばに古びた小さな革袋が落ちていることに気づいた。中には数枚の錆びたコインこの世界のお金だろうか、それと見慣れない草のような物が詰められていた。
「これは…お金と薬草か?ゴブリンの荷物ではなさそうだしこの世界にも人間がいるのかもな」
初めて手にした異世界のアイテムだが、使い方も効果も未知数だ。しかし持っておいて損はないと考え、その草を丁寧に隠れ家まで持ち帰ることにした。
隠れ家に戻り、草をそっと広げて観察すると、葉には細かな斑点があり、独特な香りを放っている。未知の世界では何が毒で、何が薬かもわからないため、慎重に保存しておくことに決めた。
お金はこんな姿じゃ使えないな進化してけば人に近づく方法があるかもしれない、今はひたすらレベルを上げよう。
「レベルも上がり、少しずつ戦えるようになってきた。でも、ゴブリンが集団で現れたら話は別だな」
進化したことで実力が上がったものの、この異世界にはもっと強大な存在がいる可能性がある。新たなスキルやアイテムを活用して、慎重に力をつけることが重要だと再認識する。
「しばらくは、少しずつレベルを上げながらこの周辺を探索して、役立つアイテムや敵を探すとしよう」
それから数日後、森の探索を続けていると、かすかに異様な臭いが漂ってくる場所にたどり着いた。周囲には、枝や枯れ葉が乱雑に積まれたような跡があり、何かの住処を思わせる雰囲気がある。臭いの元を探して進んでいくと、洞窟の入り口のような隙間を見つけた。
「…ここが、ゴブリンの巣か?」
中を覗き込むと、薄暗がりの中で小さな明かりが揺らめいている。耳を澄ますと、ゴブリンたちの声が微かに聞こえてきた。いくつかの影が動いており、少なくとも数体はいるようだ。もしここで一度に全てのゴブリンを相手にすることになれば、無謀な戦いになるだろう。
「一匹なら倒せるが、集団を相手にするにはまだ準備が足りないな…」
慎重に隙間から身を引き、巣の入り口周辺を観察する。もし、巣から出てきた個体を一匹ずつ引き離して戦えれば、効率的に倒して経験値を稼げるかもしれない。しかし、そのためには巣の中の構造や、ゴブリンたちの動きをもう少し把握する必要があった。
「まずは、ここの地形を覚えて、戦い方を考えよう」
擬態して洞窟の中に入って探索したが思ったより広くとてもじゃないが全部は把握できそうになさそうだ。
ある程度準備を整えた後、また戻ってくることを決意し、隠れ家に戻ってさらなる計画を練ることにした。
隠れ家に戻りながら、ゴブリンの巣の攻略法を考える。集団での戦いは避けるべきだが、もしも巣の中で孤立しているゴブリンを引き出せれば、一体ずつ確実に倒せるかもしれない。
翌日、再び巣へと向かい、周囲の様子をうかがうと、巣の入り口近くで一匹のゴブリンが警戒もせずに立っていた。今が好機だ。
「よし、ここで仕掛けるか」
まずは少し離れた場所で「擬態」を発動し、ゴブリンに気づかれないようにゆっくりと近づいていく。そして距離を詰めた瞬間、擬態を解き、一気に「スティールブレード」を繰り出した。鋭い一撃がゴブリンの背中に突き刺さり、相手は驚きの表情を浮かべながら倒れ込む。
「この調子なら、他のゴブリンも少しずつ引き出して倒せるかもしれないな」
ゴブリンが倒れたのを確認すると、素早く周囲を確認し、再び巣の影に身を潜める。やがて、奥から別のゴブリンが騒ぎを聞きつけて出てきたが、彼もまたこちらの気配には気づいていない。
「こうして、一匹ずつ確実に仕留めていけば、巣を制圧できるかもしれない…!」
隠れ家に戻って巣の攻略法についてさらに練り、翌朝から慎重に巣を一匹ずつ削る作戦を実行することにした。この方法なら、少しずつ経験値も稼ぎながら、確実に力をつけられるはずだ。
ゴブリンたちを一体ずつ引き出して倒す戦法は効果的だったが、さすがに何度も同じ手を使っていると、ゴブリンたちも学習を始めたようだ。知能が低いとはいえ、警戒心が芽生えたのか、巣の周りで一人で行動するゴブリンはほとんどいなくなり、常に数匹がまとまって行動するようになっていた。
「さすがに単純な手は通じなくなってきたか…」
だが、それと同時に戦闘経験を積んだことでレベルも上がり、以前よりも体力や攻撃力が確実に強化されているのを感じる。今なら多少のリスクを負っても、複数のゴブリンを相手にできるかもしれない。
次の日、巣を再び偵察していると、巣の奥から時折響いてくる不気味な音が耳に入ってきた。何かがうごめいているような、重々しい気配だ。そこから出てきたのは、他のゴブリンよりも一回り大きな体格をしたゴブリン。体にまとった粗雑な鎧と、手にした棍棒は普通のゴブリンたちとは一線を画している。
「…あれがリーダー格か?ゴブリンリーダーとでも名付けよう」
その大きなゴブリンが、まるで見張りをするように他のゴブリンたちを指示しているのを目撃し、緊張感が高まる。この巣にはまだ、簡単に倒せない相手が潜んでいるようだ。
「今の俺じゃあれは倒せない、やっぱり簡単には終わらなさそうだな…」
レベルが上がり自信がついたとはいえ、一度に多くの敵を相手にするのはまだリスクがある。少しずつ、慎重に敵を減らしていかなければならないと感じた。その場からそっと距離を取り、次の作戦を練るため隠れ家に帰った。
それにしてもあれほどの数のゴブリンどこで食料を集めてるんだろうか、この森ではゴブリンをそんな見かけることが少ない。考えられるのはあの洞窟は別のとこまで繋がっていてそこから食料を集めているのかもしれないな。
その次の日も俺は洞窟の中に入った、洞窟の奥で大量の食料が集まっているのを目の当たりにし、驚きとともに思考を巡らせた。「こんなに多くの食料、どうやって集めているんだろう?」と心の中で問いかける。周囲のゴブリンたちがどのようにして食料を確保しているのか見当もつかないな。
さらに隠れながら、俺はゴブリンたちの様子を観察することにした。ゴブリンたちは、時折笑い合ったり、険しい表情を浮かべたりしながら、食料の分配を行っているようだ。彼らの会話から、どうやら周囲の洞窟の魔物や森から取っているらしいことが伺えた。
「この洞窟は、彼らにとって安全な隠れ家のようなものか。それにしても、他の人間たちは何をしているんだ?」と、俺は疑問を抱く。
彼は少しずつ洞窟の中を探索し、ゴブリンたちの動きに注意を払った。レベルが上がった自分に自信を持ち始めていたが、まだゴブリンたちの数は多く、慎重に行動する必要があった。
「ここで何か手を打たないと、どんどん数が増えるだろう……とにかく今はこいつらだけでも狩っておこう」
影に隠れながら、俺は静かにゴブリンたちに近づく。目の前の一番近くにいるゴブリンに目をつけた。その小さな体を斬撃スキルで一撃で倒すことができれば、他のゴブリンにも気づかれることはないはずだ。
「いくぞ!」俺は一瞬の隙を突いて、斬撃を放った。鮮やかな刃がゴブリンの体を切り裂き、悲鳴を上げる間もなくその場に倒れ込む。
他のゴブリンたちは驚いて振り返ったが、俺はすかさず次の行動に移る。倒れたゴブリンの姿を見て、周囲はパニックに陥っている。俺はその混乱を利用し、さらに2体を次々と斬り捨てた。もはや恐怖心は薄れ、目の前にいる敵を倒すことに集中する。
俺の動きは素早く、ゴブリンたちは次々と倒れていく。レベルアップへの期待ができそうだ。
最後に残ったゴブリンは、恐怖に満ちた目で俺を見つめていたが、逃げることはできず、俺の手によって倒される。洞窟の中に静寂が戻った。
「これで少しはゴブリンたちも弱まるだろう。食料を奪うことで、奴らの活動を鈍らせられるはずだ。」
俺は周囲の食料を確認し、持てるだけのものを集めることにした。次の行動に備えて、これを利用できるかもしれない。洞窟の奥にはまだ何か隠されているのではないかと考えつつ、慎重に動くことにした。
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