シンガポールで、姉は怒った!
崔 梨遙(再)
1話完結:900字
僕が4歳くらいの時。僕の家族はシンガポールに住んでいた。そして、兄と姉は日本人学校に通っていた。それだけではなく、英語を習得させるため、親は兄と姉には英語の家庭教師をつけていた。先生はインド人の姉妹だった。歳は二十歳前後だったと思う。
兄と姉、2人いるから2人の家庭教師が雇われていた。なのに、家庭教師姉妹は2人がかりで兄にベッタリだった。兄は当時、目がパッチリして男前だった。だからだろうか? 姉はなかなか新しい教材も用意されなにのに、兄にはどんどん新しい教材が与えられた。
兄にはちゃんと教えて、姉の方はほぼ自主トレ状態だった。勿論、姉は怒っていた。姉も黙ってはいない。家庭教師姉妹の差別を親に訴えた。だが、親は深刻に考えずに注意するだけにとどまった。
そこで事態が改善されるかというと、全く改善されなかった。自分達の悪い点を親に訴えたことで、ますます姉は疎まれたようだった。家庭教師のいる時間は、姉にとっては苦痛な時間だった。だが、親に言っても改善されないなら、もう打つ手が無いので、黙って苦痛に耐えていたという。当然だ。耐えるしかない。小学生の姉が1人で解決できる問題ではない。
記念写真が残っているが、姉妹で兄に左右からベッタリしていて、姉がちょこんと1人で写っていた。その写真だけでも、いかに姉妹が兄を贔屓にしていたか? わかるというものだ。小学生を相手に何をやっているのか? ちなみに姉妹はインド人だからか彫りが深く美人だった。今、写真を見ると美人だったと思う。当時の僕は4歳だったので、キレイとかブサイクとか、よくわからなかったのだけど。
今も、姉は当時のことを忘れていない。姉は明確な差別を体験したのだ。嫌な出来事は忘れない。だから、姉にとってシンガポールでの生活は、あまり気分のいい思い出では無いようだ。
しかし、そんなにあからさまに差別する家庭教師がいるのか? と驚きます。それでまかり通っていたことにも驚くのですが、当時小学生だった兄を二十歳そこそこの姉妹でチヤホヤするとか、僕には考えられないのですが、皆様にはどう映るのでしょうか? “あるある”なのか? “それは無い!”なのか? どっちでしょうか?
シンガポールで、姉は怒った! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます