第23話 温泉での出来事




 レヴィアとナイアに放置された後、俺は服を〈異空間収納〉仕舞い、ミニタオルを腰に巻き、温泉に入ろうとしたが、鏡付きのシャワーが視界に入る。

 木製の風呂椅子と桶までもある。


「シャワーあるのか!?風呂に入る前は、シャワーだよな!」


 俺は風呂椅子に座り、〈異空間収納〉で重曹を取り出そうとしたが、他にないかアイテム表示させてスクロールしてみると、ラセリンという文字が目に入る。


「ラセリン?たぶん、馬の汗だよな。これで洗うと艶々になるんだよなぁ」


 馬の汗ラセリンで、シャンプー代わりに使う事にした。

 ラセリンで思い出したのだが、前にあった重曹は水で出来た水馬ウォーターホースの〈解体〉で出来た可能性がある。

 フロマとモルビエと一緒に狩りしていた時に、川辺を発見して、川辺から引き離した後、時間をかけて倒したなと懐かしむ。


 〈異空間収納〉からラセリン液を取り出すと、小瓶に入っていた。

 俺は風呂椅子に座り、小瓶を鏡の前に置き、シャワーで温水を浴びた後、自身の髪の毛にラセリン液を垂らしてなじませる。

 シャンプーで泡立てていると、レヴィアとナイアの近づく足音が聞こえて来た。


「お主から良い香りがするのじゃ!ワシもその泡で洗って欲しいのじゃ!」


「父様!…私も!」


「おう、順番なー」


 俺は後ろを見たらいけない気がする。

 二人とも素っ裸な気がしたので、俺は頭と体と尻尾を馬の汗ラセリンで洗い終え、尻尾で下半身を隠しつつ、腰にタオルを巻いた後、レヴィアが俺の肩を掴んできた。


「終わったかの!次はワシなのじゃ!」


 俺は後ろを振り向かずに答える。


「分かったから、隣の風呂椅子に座っとけ」


「ナイアは…?」


「レヴィアに任せていいか?」


「分かったのじゃ!ワシがナイアを洗ってあげるのじゃ!」


「ちなみにレヴィアとナイアはタオルを体に巻いてるか?」


「しとらんのじゃが?」


「私も…です」


 レヴィアは俺が顔を赤くしたのを察して、ニヤけていた。


「ワシらの裸は見ても平気じゃよ!恥ずかしくて見れんのかのうカブトよ?」


「ギクッ!」


「図星じゃの。じゃあ、ワシはカブトに背を向けて風呂椅子に座っとくかのう。ナイアは、ワシの前に座るのじゃ!」


「ああ、それならいいや…」


 俺はレヴィアとナイアの前裸を見ずに済んだので、並んで風呂椅子に座った後、綺麗な尻尾がレヴィアのお尻から生えてるのを見つめてしまった。

 それに気づいてレヴィアは、俺をからかう。


「後ろから襲うかの?ワシはいつでも歓迎じゃよ」


「洗う事を襲うと勘違いしないでくれ!レヴィアの右手にシャンプーの液体を垂らすから、ナイアの髪を洗ってくれ」


「うむ!この小瓶に入っている液体で洗えばよいのじゃな!任せるのじゃ」


「あと、決して俺の方に向かないでくれよ」


「むぅ、我慢するのじゃ…」


 俺は小瓶を手に、レヴィアの右手にシャンプーを垂らすと、レヴィアは身体をビクっとさせる。

 レヴィアの反応に、落ち着けと俺の心の中で繰り返す。


「ナイアも洗っていくかのぅ!」


「母様…お願い…します」


「俺もレヴィアの髪を洗っていくぞ」


「優しく頼むのじゃ!」


 俺はラセリン液を手に馴染ませ、泡立ててからレヴィアの長髪の毛先から触り始める。

 

「カブトは手際が良いのう、気持ちいのじゃ。ナイアの身体を洗うからの!」


「母様…私も気持ち良い…です」


 レヴィアがナイアの身体を泡立てると、シャワーを掛けて洗い流した。

 ナイアが立ち上がったので、俺は顔を逸らす。


「母様…ありがとう!先に温泉に…入ってくるね!」


「うむ、ワシはまだ髪がまだじゃから、カブトに引き続き洗ってもらうのじゃ」


「転ばないように気を付けろよ!」


 ナイアは、先に温泉に入りに行ったので、二人っきりになる。

 俺はレヴィアの長髪を泡立てた後、耳上に生えた角をどうするか聞いてみた。


「レヴィアの角はどうする?」


「優しく洗って欲しいのじゃ…」


「おう、任せろ」


 俺がレヴィアの角に泡の付いた指でなぞると、身体を震わせる。

 レヴィアは、我慢していたようだが、耳が赤くなっていく。

 

「カブト…もうちょっと優しくするのじゃ!」


「レヴィア、大丈夫か?」


 俺が手を離すと、俺の手首を掴んできた。


「はぁーはぁー。大丈夫じゃ」


「おう…」


 俺は、手の平で角をなぞる。


「うぅ…はぁ…」


 レヴィアは口に手を当てていたが、限界だったようで、背を寄りかかってきて、尻尾を俺の尻尾に絡ませてくるが、俺の目線は上を向く。


「気持ち良すぎて…おかしくなりそうじゃ…」


「レヴィアの身体がまだだぞ」


「ワシの身体を好きにして…良いのじゃ」


 レヴィアは色仕掛けをしたが、俺は心を鬼に背中を押して答えた。

 尻尾同士は絡ませたままだが、俺は持ち堪えている。


「頭を先に洗い流すぞ。泡が入るといけないから目を瞑っておけ」


「ぬぅ…今日のカブトは手強いのう…」


 レヴィアは少し不機嫌な表情をしていたが、俺は無心でレヴィアの頭の泡を洗い流す。


「カブトよ、次はワシの身体を洗うのじゃよ…」


「はいはい、背中から洗いますよ」


 俺は〈異空間収納〉からミニタオルを取り出し、タオルをラセリン液体を馴染ませ、泡立てた。

 レヴィアの首元から背中にかけて、タオルで優しく拭く感じで泡まみれにしていく。


 タオル越しでも肌の暖かさと感触が手に伝わるが、俺は顔を赤くしながらも手を動かす。

 両腕と手を泡で覆っていくが、尻尾に差し掛かった所で、俺は手を止める。 


「尻尾は、自分でするか?」


「もっと…最後までやって欲しいのじゃ…」


「ああ、分かった」


 お互い風呂に入ってないのに、蒸し暑い気がした。

 俺の尻尾から優しく離した後、丁寧にタオルで撫でていく。

 すると、我慢できなかったのか、レヴィアは再度手の甲を口で塞いで我慢し始める。


「むぅ。んッ…はぅ…」


 レヴィアは、尻尾の先に行く毎に悶え続けた。


「ふぅー。尻尾も一通り終わったぞ。前はどうする?」


「…先ほども言ったじゃろ。前も頼むとな…」


「分かった。胸と下半身は、尻尾と腕で隠してくれよ」


「うむ…」


 レヴィアは胸と腕を両手で隠した上で、俺は前に移る。

 色々とエロかったので、軽く上半身から脚にかけて拭き通す。

 

 途中も喘ぎ声が聞こえてきたが、無心で何とかやり遂げる。

 

 俺は無性なのに、理性の破壊力を持つレヴィアが恐ろしい…


「泡落としていくから、そのままの状態でいてくれよ」


 俺はシャワーで泡を落とし、レヴィアは赤く照りのある艶々の肌を晒す。


「レヴィア大丈夫か?」


「力が入らぬ…気持ち良すぎて大丈夫ではない…ワシを抱えて風呂に入れてくれんかのう」


「手を貸すから、タオルを身体に巻くぞ」


 どうやらやり過ぎてしまったらしい。

 俺はレヴィアの背中からタオルで巻いて、姫様抱っこをして温泉へ向かう。

 心臓が無いはずなのに、ドクンドクンと鼓動が早くなっている気がした。

 

 温泉に辿り着くと、ナイアが声を掛けて来る。


「父様!母様!遅い…です!!」


「俺が悪かったってナイア」


「すまぬのう。ワシの身体をカブトが隅々まで洗ってもらったら、時間が掛かってしもうた」


 レヴィアの色気がありすぎて、温泉に浸かるナイアを見ても何とも思わなくなっていた。

 俺はレヴィアを抱えながら、ゆっくりと温泉に浸かる。

 ナイアはそれを見て、こちらに向かって泳いできた。


「母様…大丈夫?」


「うむ。大丈夫じゃよ」


「父様!今度は…ナイアを洗って…欲しい!」


「わかったよ。次に来た時な」


「うんっ!…約束!」


「おう、任せろ」


 その後、俺はレヴィアを抱えながらも、ナイアと一緒にゆっくり温泉に浸かった。

 レヴィアの全身を洗う行為は、完全に事後だなと思う…ほんと。

 






「レヴィア、そろそろ風呂から上がるか?」


「うむ。ワシは十分満足したしのう」


「ナイアはどうする?」


「私も…家に戻る!」


 満足した様子なので、俺はレヴィアを抱えながら温泉から上がった。

 ナイアも温泉から上がると、身体にタオルを巻いてくれた。

 お湯でレヴィアの身体ラインがスケスケだが、俺は賢者モードだ。


「ナイア!レヴィアの身体拭くのと着替えを手伝ってくれ」


「父様…手伝う」


 レヴィアの濡れた身体をナイアは、前は頼んで拭いてもらう。

 俺は服を取り出し、ナイアにレヴィアの下着を着るのを手伝ってもらった。


「そろそろ、立てるか?」

 

「うむ、苦労かけたのう」


「じゃあ、帰って寝るか!」


「うん!今日は…父様と母様で寝る!」


「わかったのじゃ〈階層転移〉」


 長い一日を締めくくり、住み家に帰ってきた後、レヴィアを抱えたままナイアと共に寝室へ向かった。

 横になった後、俺は今日の出来事が多くて忘れられず、眠れない夜を過ごすのだった。



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