第19話 お出掛け




 自身のスキル取得の条件を確認した後、お待ちかねのステータスを確認してみる。レヴィアの稽古とホムとの戦闘で、どれほど成長してるか期待大だ。

遊戯の神アメモからもらったスキルあるが、一応期待はしていないけどな。

 


【黒兜】


 種族:守護鎧ガーディアンアーマー

 レベル:76/100

 耐久:12600/12600

 攻撃力:0

 防御力:20400

 魔力:1360

 俊敏力:1360

 幸運値:10000

 マナ:20000/20000


 スキルポイント:537


 スキル:〈変形装着〉〈解除〉〈並列思考〉〈憑依〉〈自己修復〉〈自動マナ回復〉〈防御力増加〉〈軽量化〉〈分裂〉〈スキル熟練度UP〉〈経験値増加〉〈スキル図鑑〉〈意思疎通〉〈水中歩行〉〈水中呼吸〉〈従魔契約〉〈従魔召喚〉〈眷属召喚〉〈洗浄〉〈威圧〉〈変幻自在〉〈障壁〉〈槍術〉


 スキルレベル:〈マリオネット〉Lv10、〈浮遊〉Lv10、〈危険察知〉Lv6、〈マップ探知〉Lv10、〈鑑定〉Lv5、〈異空間収納〉LvMAX、〈解体〉Lv5、〈裁縫〉Lv3、〈調理師〉Lv1〈水龍拳〉Lv3〈受け流し〉Lv3〈水槍〉Lv3


 称号:自我を持つ鎧、転生者、宝箱もどき、引き籠り、慎重派、弱肉強食、狼の長、水龍の加護、水龍に愛されし者、水神の眷属の父親、運命を打ち破りし者、遊戯の神のお気に入り



 レベリングが凄い。

 スキルポイントが消費しきれない程増えているが、引き続き貯め続けておく。

 次にアメモに会って聞いたらヒント貰える気がすると思いつつ、もうすぐレベル上限が近づいているので、次のレベル上限は、500か1000だと予想しておく。

 進化が5段階あるとしたら、まだまだ先は長いし、楽しみだ。


「〈変幻自在へんげんじざい〉?なんだこれ?」


 恐らく、アメモから与えられたスキルだろう。

 俺はスキル内容が分からなかったので、〈スキル図鑑〉で調べてみる。


 変幻自在:自身の成りたい姿に変化できるが、完全には擬態できない。

 

「つまり、擬態できるって事だな!これは良いスキルと捉えておこうか」


「父様…元気になった!」


 ナイアの隣で、確認してたの忘れてた。


「おう!元気になったぞ!そうだ、ナイアに〈変幻自在〉」


 ナイアの姿に変身した。


「私…そっくり?」


「ナイア!俺の事触ってみてくれないか?」


「え!?…私の声は違う…父様…触ってみる」


 ナイアに俺の擬態を隅々手をトントンしてきた。


「父様…可愛い!母様来るまで…そのままにして!呼んでくる…!」


 ナイアは、レヴィアの所に行き、ちょうど作業が一段落した感じだった。

 すごく嫌な予感がする。


「面白い事しとるのぅ。ワシも確認の為に隅々まで触らせてもらうかの」


 レヴィアの手つきが危なっかしく思える。

 ナイアの姿だぞ!?

 ナイア姿を前に醜態を晒すことになるぞ。

 マジで不味いぞ。


「レヴィア!ちょっと待て!うっ…駄目だって!」


 声を最大限抑えたが、色気籠った声を出してしまった。

 その場面を見ていたナイアはプンプン怒っており、レヴィアの腕を掴みながら怒りの言葉を発した。


「母様…なんか嫌!」


「ナイアよ、すまぬのう。カブトは声以外、完全に擬態している様じゃの」


「はぁ…はぁ…ナイア、助かったよ…」


「父様!私に変身するの…駄目!2度と!母様も反省して!」


「ごめんな…ナイア」「ワシもじゃ…すまぬ…」


 俺は元の姿に戻り、レヴィアと一緒に正座をして謝罪した。


「罰として…今日は私と一緒に…お出掛け!それで…許してあげる!」


「稽古無しじゃな。ナイアと一緒にお出掛けかのう」「そうだな」


 そうして、俺は2度とナイアの姿にならないと誓う。

 レヴィアも悪乗りに反省したようだった。

 外に行く準備は出来ているので、ラメルの事はフロマとモルビエに頼み、三人で庭の湖へ向かうのであった。



 




 ナイアに何をしたいか聞いた所、「一緒に…潜りたい!」と言っていた。


「なら、潜る服を作るぞ!少しだけ時間貰うけどいいか?」


「ワシは平気じゃぞ」「私も…楽しみ!」


 許可をもらえたで、潜る用の水着を作り始めた。

 最初は、〈異空間収納〉からウォーターグロンプの皮膜とシルク布を森林蜘蛛フォレストスパイダーで〈裁縫〉で縫い合わせ、染色プラントの青黒カラーを塗る。

 乾かした後、二人の要望を聞いて、上下にフリルを追加し、フリルビキニを完成させるが、ついでにフィットネス水着も予備で作っておく。

 掛かった時間は30分という速さだった。


 作っていた間もレヴィアとナイアは俺の芸当を見て、楽しそうにしてたので良しとする。

 ちなみに俺の場合と言うと…


「お主は、ワシと似た擬態をすれば良かろう!〈変幻自在〉を扱えるお主なら可能なはずじゃ!ワシらも着るんじゃ。お主が着ない訳にはいかぬぞ!」


「分かった…レヴィアみたいな感じに擬態してみるわ。レヴィアと同じサイズのポンチョ貸してくれないか?」


「うむ。これでええかの?」


「ああ、助かる」


 俺は、ポンチョを被った後〈変幻自在〉発動し、液体の様に変化する。

 その後、レヴィアを彷彿させる太い尻尾と角の生えた少年の姿に変貌した。

 姿が変わっても無性なのは変わらない。

 

「まるでワシの男バージョンじゃのう」


「完全な擬態が出来ないって〈スキル図鑑〉に書いてあったからな」


 レヴィアは、俺がそんな姿になるとは思わなかったであろう。

 対照的にナイアは目がキラキラしていた。


「父様…可愛い!母様と並んでると…美男女…!」


「うむ。ナイアも満足してるようじゃし、着替えるとしよう!」


「うん…着替える!早く一緒に…泳ぎたい!」


 何の躊躇もなく、その場で服を脱ぎ、着替え始めたのだ。


「ちょちょちょっと待てい…!俺は後ろ向いておくからな!」


「ワシは見られても別に平気なのじゃがのう」


 レヴィアは裸体のまま、俺の背後で尻尾を絡ませながら背中を触り始める。

 俺は、身体が震えた。

 尻尾が敏感になっていたからだ。


「お主の身体は、尻尾まで感覚ができているとはのう、興味そそらせる身体よのう」


「尻尾をおほっ…変な声出るからやめてくれ‥‥困るからッ!」


「母様…父様…イチャイチャしてないで…早くして」


「わかったのじゃ!カブトも早く着替えるのじゃ!」


「ポンチョを引っ張るな!わわっ!自分で着替えるから、やめてくれぇー!」


 ナイアに見捨てられた俺は、レヴィアに着替えさせられるのだった。


 





「レヴィアに着替えで心が犯されちゃった…レヴィアしか求められない体にされちゃったかもしれない…」


 俺は、レヴィアに着替されちゃった訳だが、身体がビクビクしている。

 着替えただけなのに、レヴィアの身体が俺の敏感な部分に何度も触れたのだ。

 レヴィアの何処の部分が当たってたとか言えないが、身体が触れるたびに柔らかかった。


「減るもんではなかろうに…いつまで蹲っておるのじゃ。お主は無性じゃろう」


「もう…早くして!私…また怒るよ!」


「ごめんなさい」


「…母様もだよ!」


「ごめんなのじゃ」


 ナイアは頬を膨らませていたが、待ちきれなかったのか、俺とレヴィアの片腕を掴み、引っ張った。


「じゃあ…行こう!」


「そうじゃな!」「おう!いざダイビングだ!」


 ナイアと共に、住み家の庭の湖の下へダイブして潜り始める。

 俺は〈水中呼吸〉と〈水中歩行〉を持っているので、潜っても心配ない。


 庭の湖の中に入るとひんやりしていて気持ちが良い。

 底が見えず、終わりが見えないが、何処かの場所に繋がっているのだろうか。

 潜っても視界が透き通っており、綺麗な魚達が泳いでいる。

 巨大魚もいるが、温厚で襲っても来ない。


「水中散歩楽しい…!」


「本当じゃのう。気持ち良いのう」


「色んな遊びできそうだな!」


「カブトよ、水中で稽古したいかの?」


「今は遠慮しとくよ。外に出掛ける際にそんな機会なさそうだし」


「ふむ。お主が望む時が来たら、いつでもワシに言ってほしいのじゃ」


「母様!今日は…私が優先だよ!」


「そうじゃったな!何処にいこうかの?」


「あっち…!空気ドームがある方向に行きたい!」


「そっちは…待つのじゃ」


 レヴィアはナイアの腕の引っ張りを止めた。

 ナイアと俺は、レヴィアの顔の様子を伺う。


「どうしたんだレヴィア?この先って何があるんだ?」


「ワシが最初に生まれ育った、深海の村じゃよ。舟屋以外は残っていない、ただの廃村じゃよ」


「そうなのか。じゃあ、知りたい!レヴィアの育った場所!」


「私も…母様の事…知りたい!」


「なら、教えてあげるかのう」


 レヴィアは困った顔をしていたが、俺とナイアの興味深々な顔に負けて、泳いで向かうのだった。




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