第14話 謎の図書館と寝室
また夢の世界か…前世の部屋だな。
此処へ連れて来られる理由が、理解出来なかった。
「全部、前回の夢のままだな…ドアの外も見てみるか…」
俺はドアに手を掛け、開けてみた。
「っな!?真っ白!?」
何もなかった。足を地面につけても平気だった。
「進んでみるか…」
俺は足を進めた。すると、白い霧を抜けた先には別の部屋があった。
「ん?こんな所にまた扉?」
開いた先は、天上が見えない程続く、数えきれない本棚が並んでいた。
「図書館か?本に触れるの怖いな。気にせずに進もう」
進んだ先には、ダイニングテーブルに座って、本を読む子供がいた。
ボーイッシュな女の子で見た目は、レヴィアより小さい身長をしており、銀髪で目は白眼をしていた。
服装はポンチョだけで、レヴィアと出会った時の恰好を思い出させる。
俺が来た事に気づいて、顔を上げて本を閉じ、笑顔で顔で声を掛けてきた。
「君が此処に来るのは、初めてだよね!」
「ああ…初めてだ。此処は何処だ?」
「此処は、全種族の生涯を閲覧できる…神界の図書館さ!」
俺は本棚を見上げながら、言葉を返す。
「凄いな。教えてくれて礼を言う。俺はカブトだ。君の名前を教えてもらってもいいか?」
「いいよっ!ボクの名前は、アメモって言うんだ!遊戯の神だよ!宜しくぅ!」
アメモは手を差し出し、俺も手を交わすと、ブンブンと腕を揺らした。
握手をして何かを察したのか、その手を離さなかった。
「君は、ボクの力が混ざっているね。最近だよね!?やっと来てくれたね!?」
アメモは、興味津々に両手を使って、俺の手を揉み回してきた。
その手に気持ち悪くなった俺は、手を引っ込めた。
「いきなり俺の手を揉みまわすな、気持ち悪いぞ!!」
「ああ…振り払われちゃったぁ…ってレヴィアちゃんの力だね。成程ね!」
アメモは勝手に納得して首をウンウンと頷いていた。
「君とレヴィアちゃんの関係は、予想外の展開になって、ボクも楽しませてもらった。その礼として、僕と賭けをしないか?」
「賭け…?俺は賭ける物がないぞ?」
「君の人生を賭ければいいよ!ボクは君の身体を作ってあげるっていうのはどう?」
やっぱり、レヴィアとアメモは性格が似ており、主に悪戯な顔な所が引き継がれてる気がする。
アメモの提案が魅力的に感じたが、身体だけじゃ釣り合わない。
「身体だけじゃ足りない。レヴィアとの関係を許してほしい!それでどうだ!」
「ふーん。ボクはレヴィアの育ての親だけど、関係を許す…?って、ええ!?君たちはそんな関係になっちゃったの!?ボク知らないんだけど!!」
アメモは頭を抱えてた。とても深刻そうな顔をしていた。
「レヴィアの事を愛してしまったからには、一途で居ようと思ってな。駄目か?」
「えぇ…。じゃあ、君がボクの遊びの相談役も含めるならいいよ?」
俺の愛が重いって、ドン引きされるかと思ったけど、アメモの条件飲むか。
それに、アメモの相談役になるならヒントがもらえそうだし。
「分かった!ちなみに、人生を賭けるっていうのはどんな事すればいいんだ?」
「カブト君が生き続けてくれればいいって所かな?その間にボクが満足すれば、君の勝ちだ!…逆に、君が死んだらボクの勝ちかな!納得してくれたかな?」
「分かりやすいな。その賭け乗った!」
アメモは満足したように握手を交わしたが、俺の手が消えかけていた。
「君はもう、目覚める時間だね。また此処で会える事を楽しみにしてるよ!」
「ああ、またな!アメモ!」
俺の視界は段々と雲で包まれた後、神界の図書館から姿を消した。
残ったアメモは、独り言を呟く。
「ボクの悪戯がシナリオ通りにいくのか、楽しみだなぁー!フフッ!」
◇
俺は目覚めると、暗かった。布の中にいる感覚だった。
顔を横にすると、ムニュっとする感触が頬に当たる。
「っはぅ…」
これ以上は動いてはいけない気がする。
色気声を発したのは、紛れもなくレヴィアだ。
つまり、俺はレヴィアの裸体の上って事だ。
(なんて大胆な事をしてるの、レヴィアさん!?)
レヴィアの腕は、いつもより強く抱いており、抜け出せない。
外が少し明るくなってきたので、体に掛っている布も光を通し始めた。
俺の視界は、肌色で染まっていく、これ以上は駄目だと頭の中で警鐘を鳴らしながら、俺の頭は沸騰した。
「レヴィア!起きてくれっ!」
「う…ふぅ…」
俺の必死の声は届かず、レヴィアは起きてくれなかった。
「レヴィア!悪戯しても文句言うなよ!起きないのが悪いんだからな!」
俺は、手を腹から胸に向かって優しく撫で沿った。
胸の膨らみに差し掛かった途端、更にレヴィアは声の色気が増した。
「あ…んふ…っん。おほ…はぅんっ!」
レヴィアは、右手でカブトの頭を抱えて胸へ押さえつけ、左手でお腹周りを掴んでくる。
「んぐ!?、まだまだぁ!」
俺は負けじと、腕が動くお腹の周りを撫でまわすと、レヴィアは我慢できなかったのか、起き上がり、体に掛っていた布を退かす。
カブトは、空中に優しく放り出されるように腕の中から解放される。
咄嗟に〈浮遊〉を発動して見渡すと、寝室だった。
どうやら俺が寝ている間に部屋を追加したらしい。
レヴィアの方に目をやるとプルプル震えており、胸と下半身は、布で覆いながら手で隠していた。
その姿はとても色っぽく美しかった。
「ふぅーふぅーふぅ…。カブトよ、お主…そういうのは、ワシより大きくなってから…して欲しいのじゃ…」
レヴィアの顔が真っ赤で、目から涙がたらりと流れる。
「ごめん!レヴィアの腕の力が強くて。声を掛けても起きなかったから、悪戯したんだ」
「我慢できなかったの間違えじゃろう!?」
「本当にごめん…」
「うむ、ワシも裸だったから非があるの」
「レヴィア…そろそろ服着てくれ!」
俺は〈異空間収納〉からワンピースを取り出し、服の裸を隠す様に投げ渡し、後ろを向いた。
「ふむ、この服を着ればいいのじゃな」
レヴィアは、渡された水色のワンピースに着替え始め、少し経った後…
「もういいぞ…どうじゃ?」
俺はその姿に、目を見開いて、見惚れてしまった。
やっぱり、俺はレヴィアの事が大好きなんだなと思いながら…
「とても似合ってるよ!ワンピースと相まって、別嬪さんだ!」
「ふふっ!当たり前なのじゃ!それにカブトよ…」
レヴィアは顔を近づけて、俺の耳元に囁いた。
「お主がワシとの子が欲しいなら、ワシより大きくなった後に…じゃよ?」
俺はそれを聞いた瞬間、体中が熱くなり、
「ワシは、カブトが成長するまで待ってるからのぅ」
「…頑張るよ。レヴィアと家族の為にも」
◇
俺は稽古の後、なかなか起きなかったらしい。
その間に、レヴィアは住み家に寝室を追加して、俺と一緒に寝ていたとの事だった。
ナイアは、フロマとモルビエに挟まれながらリビングで寝てたのだが、今日の早朝、寝室からレヴィアの色気ある声が聞こえていたらしく…
寝室から俺とレヴィアが出てきた後、ナイアは興味津々に寄ってきた。
「父様…母様…私に妹できる…?」
「カブトは身体がまだ小さいから、まだまだ先の事じゃよ?」
「ナイア、ごめんな…ナイアがレヴィアの身長ぐらいになってからになりそうだ」
「わかった…残念」
ナイアは、すごく残念そうな顔をしていた。
レヴィアにアイコンタクトすると、お腹を摩りながら顔を赤くする。
次にフロマとモルビエの方に目を向けると「え…?」と言ってそうな顔しながら、モルビエは頭をブンブン横に振った。
「…まだ先の話だよな!」
俺はその朝にふと思い付き、ナイアに妹的存在をダンジョンで生み出せないか、相談しようとするのだが、その日に都合良く、現れるとは思いもしなかったという。
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