第7話 ダンジョン運営と圧倒的強者

 


 ダンジョンの主の水龍レヴィア宅に来てから、休息している。

 俺は、〈浮遊〉スキルを常に使用して浮いている。

 クッションにいると、俺の目線はレヴィアの美脚に魅了されてしまうからだ。

 俺は、初心うぶです…事実です。

 

 レヴィアは、スライムクッションにくつろぎながら、俺に声を掛けてきた。


「これからどうするつもりじゃ、お主ら?」


「どうするも何も、いずれ外の世界に行きたいと考えているんだが?」


「なんと!?もう旅立ちを考えるかの?」

 

 レヴィアは、驚いて起き上がり、寂しそうな顔をしていた。

 まだ出会って3日も経っていないというのに、寂しがり屋さんだと分かる。


「今すぐっていう訳じゃないが…寂しいのか?」


「寂しいとは思ってないわい!一人が暇だったのじゃ!」


 図星の様な反応で帰ってきたので、俺は暖かい目を向けた。


「そうなのか。俺はフロマとモルビエを預ける予定だから、一人じゃないだろ?」


「という事は、フロマとモルビエは置いていくのかの?」


「レヴィアに任せたいと思っている。同じダンジョン出身だし」


 フロマとモルビエは「えっ??」とした顔を俺に向けている。

 レヴィアは口をニヤけそうになるのを我慢していたが、フロマとモルビエの感情を読み取ってから答えた。


「ならば、有り余ったスキルポイントで〈従魔召喚〉と〈従魔契約〉を覚えるとよいぞ!ちなみに、良ければワシも…」と言いかけたところで、俺は「分かった、フロマとモルビエだな?」と返す。   

 

 レヴィアと契約したら、この世界は簡単イージーになる予感がしたので、言葉を遮る。

 異常な好かれ具合だ。

 流石に俺だけで、どうにかできるようにしたい意地があった。


「まあよい…。契約しておけば、何処どこにいても呼び出せるからの。呼ばないのは無しじゃよ?こんなにも可愛い奴らを放っておくと、知らぬ間に立場が逆転するかもしれんぞ?」


「…程々に宜しく頼むな!」


「うんむ、任されようぞ。いつ外へ行くかは知らぬが、出た後も此処に顔を出すようにするのじゃぞ!」


 「わかったよ」と俺が頷くと、レヴィアのご機嫌が良くなった。

 その後すぐに、フロマとモルビエを正式に〈従魔契約〉をして、〈従魔召喚〉が可能になった事を確認する。


 〈従魔契約〉をしてか、フロマとモルビエは、安心した表情をしていたとか。







 異世界と言えば、ダンジョン!俺は内情がとても気になっていた。


「そういえば、ダンジョンの管理はどうなんだ?」


 レヴィアにさらりと、疑問を投げる。


「ワシのレベルになると放っておいても問題ないのじゃが、それがどうかしたかの?」


「外から来る者とか階層とか、どうしてるのかなと思ってな」


「なるほどの。ワシのダンジョンに、興味があるということかの?」


「そうだよ。俺が居た所から、レヴィアの場所に繋がってたのも疑問だった」


「その事情は、お主がいた所は少々特殊でな。ワシが隔離してたからの」


 流石、ダンジョンコアのレヴィアさんだ。


「ダンジョンって、凄いな!?隔離という事は、自分好みで階層を作れるって事だろ?」


「そうなのじゃが、他のダンジョンはそう易々出来るものではない。ワシも生まれた時から最強上位種ゆえ、最初から何でも出来た訳ではなかったからの」


「となると、レヴィアは相当な頑張り屋なんだな。フロマとモルビエは一瞬で打ち解けているし、最強で美少女だし、心配してくれるもんな!」


「これやめぃ!調子狂うわいッ!」


 レヴィアは言いながら、相当照れていた。


レヴィアは、「そうじゃった」思い出したかのように、壁側にあるモニター机の椅子に移動して座り、キーボードを操作し始める。


「カブトよ、ちこう寄れ」と声をかけられ、レヴィアの横顔近くまで俺は寄る。


「話が脱線したのじゃが、ダンジョンの管理については、このモニターとキーで作業しているのじゃよ」


 俺は、そのモニターを見て驚愕した。ダンジョンの階層が所々映されており、

階層ごとにわかれていた。

 自身が見たい所の操作もできるらしく、とても優れていた。

 階層はどのぐらいあるかは不明。

 

 レヴィアはダンジョン内の設定する画面に変える。

 画面の下側には挑戦者チャレンジャーポイントという表記があった。


「階層を作るには、莫大なマナが必要での。新たな建造物を追加するのも挑戦者チャレンジャーポイントというものが必要なのじゃ。カタログを見てもどれほど大変かわかるじゃろ?」


「ああ、今の俺にはマナが全然足りない。もっとレベルを上げなきゃいけないな」


「そういう事じゃ。ダンジョン運営は、自身の実力と運営力も必要じゃからの。お主が成長した後に、ワシの所で作ってみると良いじゃろう。今は諦めることじゃな」


 レヴィアは、キーをポチっと押して画面を変え、階層映像に戻す。


 一つの階層を作り込んだら、総量して1億以上はくだらないだろう。

 異世界は色んな興味が湧くし、冒険の途中でもいつの日か、レヴィアのダンジョン運営を手伝いたいと思った。







 レヴィアはマナを回復する為にクッションの上で寛いでいるのだと思う。

 優秀なダンジョン管理者なのだろう。

 初めて出会った時は、確実な死を知らしめる程の実力がある。

 強さの秘訣は、今まで地道にやってきたことなのだろうと、俺は勝手に想像していた。


「そう言えば、レヴィアの強さ…ステータスを知らないんだが、どれくらいなんだ?」


「ぬっ?ワシの強さは出会ったときに見なかったかの?」


「いいや、〈鑑定〉できなかったんだ」


「ふむ。それならば、見せるとしようかの」と言いながら、右手を前にかざし、ステータスウィンドウを表示してくる。

 俺は見た瞬間、目を見開いて言葉を失った。



【レヴィア】

 種族:水龍 /ダンジョンコア

 レベル:2500

 体力:14000000/14000000

 攻撃力:2000000

 防御力:1500000

 魔力:2500000

 俊敏力:1200000

 幸運:10000

 マナ:541310000/975000000



 言葉でいい表すなら、圧倒的強者がお似合いだろう。

 

 うん…あの時は、戦っていなくて良かった。

 選択を間違えたら即死だった…って感心している場合じゃないな!

 レベルって、そこまで行くのかどれだけ長く生きてるんだ!?

 世界最強レベルじゃねえか!?

 あの時の言葉は、レヴィアが俺を従魔契約するの間違えじゃないか!?と頭がよぎる。

 

 俺は必死に、心がバクバクとしてる感覚を落ち着かせようと必至だった。

 

「あ、はい…レヴィアさん、もう大丈夫です」


「何故さん付けなのじゃ?」


「いえ、大丈夫です。はい…」


「普通にせんか、人形もどきめ。ワシは悲しくなってくるわい…」


 レヴィアは、両手でシクシク言いながら、顔を隠した。


「あー…ごめん。凄く驚いちゃっただけだ!」


「なーんて、嘘じゃよ?ワシの強さに、すごく驚いたじゃろ!」


 レヴィアは、俺を覗くように無邪気な笑顔を見せた。

 からかわれた様に見えるのだが、レヴィアのその顔にドキッとしてしまった。

 これが心を落とすという事か。

 俺もいつか、レヴィアと同じぐらいに成れるだろうか?と考えてしまった。

 レヴィアに憧れてしまった、色んな意味で。

 

 「レヴィアと同じぐらいの強さになるには、どうしたらいい?」


 「はっきり言うのじゃが、お主は鎧もどきじゃから、ワシより強くなるのは、ほぼ無理じゃよ。攻撃力皆無じゃろ」


「だよな…防御と補助特化だしな…」


 俺は理解していたが…相当落ち込んだ顔をしていたのかもしれない。


「カブトよ、諦めるのは早いと思うのじゃ!ワシと同じ強者になる条件は、寿命を迎える前に最終まで進化する必要があるのじゃが、お主はその資質を備えておる。お主の寿命の概念は無いじゃろうし、とてつもない歳月を覚悟するのじゃよ」


 レヴィアは、カッカッカと笑っていた。

 俺はその言葉に、やる気の灯火が付いた気がした。 


「それならレヴィアは、俺の終着点と思っておくよ」


「お主の成長が、楽しみになったのじゃ!」


 レヴィアに手を伸ばされ、優しく撫でられる。

 その手の撫で具合は俺にとって、とても心地良かった。

 この日をきっかけに、俺が目指す異世界の道標が決まったという。

 


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