第2話


今日も朝が来た。


今日も一日が…とそこまで考えてかりかり、と足元で音がしたので一旦思考を放棄。


「起きたのかおまえ〜」


昨日連れて帰った黒猫が餌入れを爪で動かしていたようだ。


「待ってな、ご飯な」


朝の猫缶と水を入れてやり、自分のご飯を用意することにする。


黒猫は相当腹が空いていたのか鳴きながらご飯をがっついている。


とりあえずご飯の用意をしその間に支度を済ませてからぼうっとスマホを見ることにする。


ニュースでは最近この辺りの事故や動物園のパンダが赤ちゃんを産んだという心温まるニュース等色々あるみたいで、それを見ているとあっという間にご飯が温まったようだ。


昨日コンビニで買った弁当に箸を伸ばしながら、ふと考える。


この黒猫を探している飼い主にどうやって連絡をしようかと。


張り紙だとこの近辺しか知らせられないし、ましてや張り紙をしに行く時間なんてない。


ずっと稼働していなかったSNSを久しぶりに開いてみて猫の写真、特徴、何処で見つけたかなど詳細に記し拡散してもらう事にした。


「おまえのご主人見つかるといいな〜」

「にゃ〜ん」


まるで返事をするかのようにタイミングがよく鳴いて、少し気も抜けて。


さてそろそろ時間だと出勤することにする。


餌は多めに入れてあるし、きっと大丈夫だろう。




鍵を閉めていつも通りの通勤中。

ふと昨日の公園を思い出した。


別にそこまで家から遠い訳では無いのにその公園の事を知らなかった。


ちょっと寄り道をしてみる事にする。



その公園は特徴的なものは特になく普通の公園だった。


ブランコ、滑り台、屋根のあるベンチ。


小道があってその先を抜けると小さな祠があるようだ。


珍しい、公園の奥に神社があるなんて。

いやこれは神社なのか怪しいが。


その祠は思ったよりも綺麗で、だが使われた形跡なんてなく。


ちょっとだけ空虚さを感じた。


昔、神社に言った時に聞いたことがある。

神様の居なくなった所は空虚さと清廉な気配があるという。

いないからと言って雑にしてはいけないと。


スピリチュアルなことなんて考えてもいないが罰が当たっても嫌なのでお賽銭をして行くことにする。


小銭なんて持っていなかったので少し勿体ない気はするが1000円を。


入れてから拝んでいると突風が、ここは風の通り道なのだろうか。


ふと視線を感じて振り返る。

小道の先、公園の方に誰かいる気配がしてそっと来た道を戻るが特に誰も見当たらない。


そういえば昨日も変な気配を感じた気が。

そこまで考えてそういえば仕事!と慌てて出勤することになった。

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急に見えちゃうと困るんですが… 西野 涼 @nishino_pro

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