第6話 失われるもの、忘れられるもの

 華音は侵略者がもたらしたもの。

5年前の決戦で、花弁の風は侵略者の全滅を果たした。つまり……華音はもうなくなってしまうということ。

「華音が完全に消えるまで5年か。」

私と同じように花束を石碑に添えながらヘルヴィンがいう。

「なんか…あっという間だな。」

「……そう、ですね。」

深い沈黙。暗くて冷たい夜をいやでも思い出させる。

突然ヘルヴィンが懐中時計を取り出した。


チッチッチッチッ


秒針の音が聞こえる。鋭く、細かく。


あ…長針と短針が重なる。





   カチッ

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