第51話

でも、所詮多勢に無勢。相手にそこそこのダメージは与えられているが押され始めている。




そろそろかな。どれだけ頑張っても戦力差には敵わない。




酷いかもしれないけど最初から輝神だけで勝てるなんて思っていない。ただ、輝神の覚悟を見たかった。




「いいか。先ずは、俺が行く。

合図したら入ってこい。」




特攻服を脱ぎ、後ろにいる仲間にそう告げて倉庫の入り口へと向かう。




「來智を頼むな。」




後ろからそんな声が聞こえる。



ここから見える苦しそうな來智の表情。絶望み満ちた瞳。



仲間を守れない悔しさ。



全てが感じ取れた。



それでも、槐やまだ動けるメンバーは戦い続けている。負けると分かっていても諦めず争い続けている。



いい仲間じゃないか。強くて、しっかりと信念を持った仲間。そんな奴らに会えるなんて來智は幸せだよ。



倉庫の扉の前に立ち深呼吸をする。



そして、扉を静かに開ける。

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