第52話

開けた瞬間独特な雰囲気と鉄の匂いが鼻をつく。



地面に膝をつく來智。



それを見て、勝利を確信したのか余裕の笑みを浮かべ嘲笑う門倉一都。



戦いの隙間を抜け來智と門倉の方へ歩みを進める。



「來智立て。まだ、終わってない。」



門倉を睨みながら、下を向く來智にそう声をかける。




そんな俺を驚いたように見上げる。



「來智、諦めんな。」




肩に手を置きもう一度そう声をかけると立ち上がる。



「・・・飛鳥。」



安心したように俺の名前を呼ぶ。




「ごめん、遅刻した。」



申し訳なさそうにそう告げると、「はっ、遅すぎ。」

と笑われる。




「てめぇ、逃げたんじゃなかったんだな。

来たからにはぶっ殺してやるよ。」




苛ついたように睨みつけながら吠えてくる。




「・・・。」




話をする気も起きないため冷めた表情で門倉を睨む。




「無視すんじゃねぇよ!いつもの奴らはどうした?

てめぇだけじゃなくて、あいつらも連れてこいよ!」



門倉の怒鳴り声のせいで俺の存在に気付いた奴らが動きを止める。



見回す限り立っているのは半分にも満たない。




槐も辛そうに肩で息をしている。




もう限界か。でも、よく頑張ったよ。

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