第49話

「なあ、20時に行くって言ってなかったか?」




そんな恭の言葉で時計を見る。




・・・。



あれだけ騒がしかった倉庫が静まり返る。



そう、それもその筈、


長い針は11の数字を指していた。



つまり約束の時間まで後5分。



ここから輝神倉庫までは15分。



どう頑張っても遅刻だ。



この時全員が同じ顔をしていたと思う。



ヤバイっ、誰もがそんな表情をしていた。




「・・・っふ、ははは!」




誰かの笑い声で釣られたように笑い出す。




「やべぇな、俺ら。」



「遅刻する分頑張らないとな。」



写真撮影で遅れるなんて來智が知ったら呆れられそうだ。



まあ、來智には悪いけど主役は少し遅れて行くって言うし仕方ないよ。



「んんっ、では気を引き締め直して行くよ。」



流石に今の雰囲気のまま喧嘩に行く訳にはいかない。



中学生組や喧嘩を好まない人達を残して倉庫を出発する。




事故らない程度のスピードでバイクを走らせて目的地へ向かう。相手にバレないように裏から輝神の倉庫裏に隠れる。

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