第42話

俺がいなくなった教室からは俺を探す声が聞こえる。




だけど、その声に応えるつもりはない。




騒つく教室とは反対に静かな廊下を歩きながら電話を掛ける。




「父さん、門倉と決着をつける。

全て俺に任せてくれるよね?」




もともと任されてはいたけど、最後の確認と組長への報告。




『ああ、好きにしろ。1つ忠告だ。



ガキの喧嘩だと油断してると命落とすぞ。』




そう低い声で忠告してくる父さん。




父さんは俺が甘いって言うけどそうじゃない。




別に油断するつもりも、手を抜くつもりもない。




やるからには本気でやる。相手がただの族だろうとヤクザだろうと関係ない。



俺の大切な仲間を傷つけた奴を許す筈がない。




どんなに後悔しようと、嘆こうと俺は容赦しない。




それが俺に喧嘩を売るってことだ。



「もちろんだよ。」



そう父さんに返事をして携帯をしまう。



手加減なんてしない。この件に足を突っ込んだ時点で覚悟は出来ている。

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