第36話

そんな顔されたら反対なんてできないよ




「俺らは諦め悪りぃよ?飛鳥ちゃん。」



ニタリと笑う夏樹に本気だという事が伝わってくる




「飛鳥、お願いだ!お前と同じもんを刻みたい!」



さっきまで泣いていた昴が真っ赤になった目を向けて懇願してくる




そこまで言われたら賛成するしかないじゃんか




「分かったよ、刺れよう。」



よっしゃー!!



そんな声が横から聞こえてくる



甘いな俺も、みんなから本気で頼まれて断れる訳ないじゃん



デザインどうする?



どうせなら俺らを示すものがいいよな



かっこいい感じで!



嬉しそうに話すみんなを横目に空を見上げる



みんなも寂しがっているけど、1番別れを惜しんでいるのは俺かもしれないな



離れたくない



本音が浮かぶ



みんなが組に入ってくれたらって馬鹿なことを考えた時もあった



そしたらずっと一緒に居られる




俺の勝手は思いだと思っていたけど、みんなも考えていたなんて。



嬉しくて笑みが浮かぶ




「なーに、笑ってんだよ?」



横から不思議そうな声が聞こえる



「別に?みんな大好きだよ。」



そう言った瞬間、みんなが一斉に黙り込む

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