第9話
「出てこんか、久雄。」
作次郎は後ろに向かって声をかける
その声につられたかのように角から強面の男が出て来る
「作さん、いつから気付いてたんですか?」
「最初からじゃよ、おぬしがしっかりせんから儂が代弁してやったぞ。」
男、久雄は苦笑いしながら飛鳥が去った方を見つめる
「坊、いや若には悪かったと思ってます。嫌われて当然のことをしました。でも、俺が見込んだ男だからこそ強くなって欲しかった。ガキだった若にはキツかったですね。」
「それを若に伝えんか。おぬしも若も言葉が足りんぞ。」
返す言葉もなく黙り込む久雄
「ふっほっほっ、おぬしもまだ若いのう。」
そりゃ、この人からしたら俺なんてまだまだガキですよ、と心の中で悪態を吐く久雄
「俺も他の奴らも若には期待してます。
この組を背負っていける男だとガキの頃から思ってました。」
「そうじゃの、それは儂も同感じゃ。」
飛鳥から放たれるそれは、人の上に立つものだ
「俺も反省して、若と話します。」
久雄の決意に作次郎は満足そうに頷き笑いながら去っていく
残された久雄は、幼い頃の飛鳥を思い浮かべながら自然と笑みを浮かべていた。
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