第7話

「ヒ…ヒビキさん?」

前髪を大きな手で鷲掴みにし、歯を食いしばっている。

目を閉じて、顔を俯けていった。

大丈夫だ。

痛みを与えればすぐに消える。

すぐに…っ

すぐにっ!

「消えろっ!!!」

ヒビキの震える手が持ち上がり、窓を叩き割った。バリーン!!

「!! ヒビキさんっ!!」

あまりの行動に美奈子は口を覆い青ざめた。消えろと言われ、こんなに直情な行動に出るとは…。ショックだった。

「す…すみませ…」

ショックで謝罪さえ十分に出来なかった。

 ガラスを叩き割った手から血がポタポタと落ちた。

浅い呼吸を整える。大丈夫…消えているはず…

もぅ…いないはず…。

 ゆっくり顔を持ち上げる。

「!!」

まさか…そんなっ

なんでだ…っ!なんでスカートが見える?!!

風で揺れるスカートがシャラシャラ音を立てた。

なんで…なんでだっ!!

馬鹿なっ!幻覚の筈だっ!

『ヒビキ…』

ギギギギギ…と胃が捩じ上げられる。

「ぐっ…」

奥歯を噛み締める。顔を見てはいけない。彼女の顔を…しかし…体はソレを見たがった。

痛みが足らないのか?

そうなのか?

それならコレでどうだ?

これでっ!

「!!ヒビキさんっ!!止めてくださいっ!」

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