第4話

「――――――――っはっはっは…」

水から上がった時のような呼吸。全身にドッと汗をかき、体全体が痺れて異常に寒かった。

「…」

誰かに言えば…救われるだろうか…

カーテンの隙間から覗く月に答えを乞う。

体をよじると、胃がまたギリギリと悲鳴を上げる。

「…!」

それに耐え切れず、ベッドに倒れた。

「はぁはぁ…」

息が荒く目は虚ろだ。

思えば、シンと街にCDを買いに出かけて日から自分は体調が優れない。

目の前で射殺された女を見たとき…自分は確かにシヲンに被せ、あの瞬間…胃は極度のストレスに耐え切れず吐血したのだった。

アキラやケンと合流した後もずっと咳き込んでいたのは胃から競りあがってくる血を押し出していたからだ。

 常々…美奈子に申し訳なく思いながらも食事を吐く事も慣れきってしまった。

コレぐらい…

撃たれた時よりはマシだ。

ライの…メイの…

シヲンの痛みに比べれば…

コレぐらい…

コレくらい…

「…」

そう思って耐えてきたが…、自分であまり好まない牛乳を飲み始めた段階でせめて医者のタカぐらいには薬を貰っておくべきだったかもしれない。吐血した血の色が真っ赤だったので、まだ平気だと思っていたのだが…。

「情けね…」

いや、まだいける。こんなところで倒れてどうする?

チカがいなくなって少なくともチームが不安に揺れている。

シンの事を考えている凪はどうなる?

凪の事で悩むケンも…、アキラも…

チカのところに行っている美奈子も、彼女を支えるヒロも

せめて…、全員…曇りなく笑えるときまでは、不安もない状態になるまでは…

「…」

ベッドのシーツを力いっぱい握る。立たないと…

こんな事で…、テメェのことだけで…倒れてたまるか…。

例えば…奴らが笑っているとき、俺がこの皺寄せを食らおうがかまわない…

 俺は…貸しがあるんだよ…!

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