エピローグ
「やれやれ、今日も騒がしいな」
俺は小さくつぶやきながら、静かな村の広場で腰を下ろしていた。旅の終わりからしばらく経ったが、俺たちは今もこうして旅を続けている。記憶が戻っても、過去の愛する人を探すことはもうしていない。それよりも、目の前の“鬱陶しい守護者”と共に過ごす日々が、俺にとっては十分に価値があるものだと分かったからだ。
「アルト、見て!この村にもお祭りがあるみたいよ!」
セリーナが興奮した声で駆け寄ってくる。相変わらずの元気さだ。俺はため息をつきつつも、少しだけ微笑んで彼女を見上げた。
「お前、また踊りたがるのか?」
「もちろん!今度こそ、ちゃんと一緒に踊ってくれるんでしょ?」
セリーナはいたずらっぽく笑いながら、俺の手を引っ張る。俺はわざと渋い顔をしながらも、立ち上がって彼女の手を取り返した。
「まあ、少しだけならな」
「わあ、嬉しい!」
彼女は満面の笑顔で、広場の踊りの輪の中に飛び込んでいく。俺も仕方なくその後に続くが、前回とは違って、今日は少しだけ楽しむ余裕があった。
村人たちが笑顔で踊り、音楽が響く中、俺はセリーナと手を取り合ってステップを踏んだ。彼女の笑顔が、俺の心に穏やかな光を灯してくれる。
「アルト、今日は本当に楽しいわ」
セリーナが目を輝かせて言う。俺は軽く頷き、彼女の目を見つめた。
「そうだな。お前のおかげだ」
その言葉に、彼女は驚いたように目を丸くしたが、すぐに嬉しそうに笑った。
「ねえ、これからもずっと一緒に旅を続けられるのかな?」
「お前次第だな。俺はもう逃げないから」
セリーナはその答えに、涙ぐみながらも最高の笑顔を見せてくれた。
「じゃあ、決まりね!ずっと、ずーっと一緒に!」
俺は小さく笑って、彼女の手をしっかりと握り返した。朝日が昇る空の下、俺たちは再び歩き出す。これからも続く、二人だけの旅路へと。
終わりのない物語が、静かに始まったのだ。
騎士様御用心(仮)ー騎士と魔女の珍道中!ー @anichi-impact
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