(09)分岐の誤り

──ダァアァアァンッ!

──バァアアアンッ!


 不意に、前方から大きな爆発音のようなものが聴こえてきたので、シソクは思わず飛び上がりそうになってしまう。


『ぎゃぁあああ!』

 それだけではなく──先を行ったはずのおじいさんの悲鳴が上がった。

 ナジーが反射的に走り出したが、シソクは足がすくんで動けない。


 夜の闇が深く、その先は見えない。

 先を行くナジーの背中が、徐々に暗闇に飲まれていく。

「うぅっ……!」

 この時の正解を考えるとすれば──それは、後ろに下がって逃げること。行く先に待ち構えているのは危険なのだ。

 でも──シソクには、そんなことは出来なかった。

 危険に向かって走っていくナジーを見捨てて、後戻りなど出来るはずがない。

 シソクは自らを奮い立たせ、ナジーを追って走り出したのであった。

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