(07)日暮れ暗闇
「シソクー!」
自分を呼ぶ声がして、シソクは自然と
不思議と驚きはしなかった。
聞き覚えのあるその声が、むしろ
「ナジー!」
シソクも叫んで応え、
「あっ、シソク!」
草むらから飛び出したシソクを見て、ホッと安心したような顔になっているのがナジーだ。
「おー、シソク。心配したんだべよ」
「良かった、良かった!」
その後ろには近所のおじさんと、商店を
みんなシソクを心配して探しに来てくれたようである。
喜びも
「何があったの?」
ナジーの顔を見て、少しシソクの恐怖心が
事情を説明しようとして、シソクが口を開いたその時であった。
「あら……?」
声がして──シソクは体を
振り向いたシソクの目に、人影が写る。
レージョは
そして、笑みを浮かべて尋ねたものである。
「皆さん、こんなところで何をなさっているのですか?」
異変を感じたらしく、おじさんとおじいさんは顔を見合わせてレージョの問いには答えなかった。
ナジーは、シソクを
シソクは
──ただ事ではない。
そんなシソクの緊張が、ナジーにも伝わった。
ナジーはレージョを
「貴方こそ、こんなところで何をしているの?」
「何って……」
質問返しに気分を害することなく、レージョはクスクスと笑った。
「シソク様とデートをしていたんですわ。とんだ邪魔が入ってしまったようですけど……」
「で、デートって、お前……」
レージョの言葉を真に受けたおじさんが、丸い目をしてシソクを見遣る。
恐怖したシソクは、何の反応も返してやることが出来なかった。
「あなた方、だけですか?」
レージョはキョロキョロと辺りを見回しながら尋ねた。
他に人が居ないのかと、気にしている様子であった。
「後、
そう言っておじいさんは、ポリポリと頭を
おじいさんは周囲を見渡して、猟師の姿を探した。
森はしぃーんと静まり返って、なんの物音もしなかった。
当然、猟師の姿を
「まぁ、アイツは森のプロだし……大丈夫だべな……」
「それより、暗くなって来るとワシらの方が心配じゃのぅ」
「それでしたら、もっと暗くなる前に帰りませんとね」
レージョは聞き分けよく、
そして
おじさんとおじいさんは顔を見合わせた。
「まぁ、そんだべね」
「クマやオオカミが出て来たら
何の疑念も抱いていない様子だ。
レージョの後に続いて、二人も歩き出したのであった。
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