第2話
俺は聞きたいことを聞くことにした。行くかどうかはその返し方で考えることにするのだ。それに、もし行くことになれば知識がない状態よりある程度知っていた方が楽だろうと考えたのだ。
「....5つ、質問があるんですが...」
「む?なんじゃ!?申してみよ、妾がなんでも答えてやろう!!」
とネモフィラはノリノリの様子で俺の質問を待っていた。だが、俺の質問はその5つをすると決まっていたため考える必要が無いのだ。
「1つ、住民達は皆優しいんですか?」
「あぁ!どの子もとてもいい子達ばかりじゃ!!!」
「なるほど、わかりました。では、次...いじめや偏見ってありますか?」
俺がそういうとネモフィラは少々考えていた。普通なら、「絶対ない!」と躊躇なく即答するだろう。だが、ネモフィラは真剣に考えて答えようとしている。俺は前者の者よりネモフィラの方が信用出来ると考えた。
「....多分じゃが、多少はあるだろう。こればかりはなくそうとしてなくせる訳ではないものじゃしな」
「....そうですね。その答えを聞けて安心しました。では、次...もし俺がそこで死のうとしたら貴女は止めますか?」
「そうじゃな、できることなら止めたいが...そなたの考えを尊重する故、何も言わんよ」
と言い優しく微笑むネモフィラ。そんな可憐なネモフィラに優しさを感じながら俺は質問する。
「4つ、住民を殺してもいいですか?」
「....いや、妾が良いと言うまでは殺さないで頂いたいのぉ。住民じゃないのなら殺しても問題は無いが」
と、少々驚き気味に答えるネモフィラ。それはそうか。まぁ、あっちから殺そうとしてこなかったらこっちから殺す気はないけどな。
「分かりました、ありがとうございます。では、最後に...どんな人間や、種族も受け入れてくれるんですか?」
「おぉ!いい質問じゃ!妖怪、吸血鬼に悪魔に天使!色々な者がおるぞ!」
「なるほど、質問にお答え下さりありがとうございました」
「全然問題ないぞ!また他の質問が出来たら妾に言うといい!」
とネモフィラは純粋に微笑んだ。この人は悪い人じゃ無さそうだしアイリス星に行くのも楽しそうだな。でも、俺がアイリス星に行ってアイリス星の住人達に危険なことが起きたら申し訳ないしな。すると、ネモフィラは俺の考えを見透かしているかのように話し始める。
「そなた、自分のせいでこちらの世界が危険になるなんて思っておらんじゃろうな?」
「え、なんで分かったんですか」
「そりゃ、妾は一応神じゃし。そなたの顔にも書いておったよ」
「.....」
俺は黙った。事実だったからだ。だって、俺はどこに行ってもその周りの人に悪いことが起こる。それが当たり前だったのだ。そんな風に思っても仕方がないじゃないか。そう思っているとネモフィラは真剣な顔をしながら言う。
「良いか?そなたは呪いの子でもないし、そなたの存在が悪影響を及ぼすという訳ではない。そなたが関わる者達は皆、それ相応の悪行を重ねに重ねその因果が回ってきただけのこと。決してそなたが不幸を運んだという訳では無い言うなれば運が絶望的に悪いとだけ言っておこう」
「う、運が以上に悪いだけ...」
「うむ、この全てを知る女神ネモフィラ・マリンブルー・キンモクセイの言うことに異を申すのか?」
と悪い笑みを浮かべるネモフィラ。俺は流石にネモフィラを信じることにした。何せ、他ならぬ女神の言うことだ。信じざるはおえないだろう。すると、俺の考えを読んだネモフィラが嬉しそうな顔で口を開く。
「....じゃあ、私の世界...アイリス星に来てくれるかしら?」
「はい...いえ、行きたいです」
俺がそう言うと、ネモフィラは嬉しそうに頷き俺のことについて説明が始まった。まずは俺の名前についてだが、大体は前世の名前をそのまま使うらしい。まぁ、俺には名前がないためそれは出来ないのだが。
「そう言えば貴方の名前は?貴方の過去を覗いても出てこなかったから...」
「あー、言い忘れてましたけど..俺の名前ないんです」
「.....」
俺がそう言うと、ネモフィラは驚きすぎて固まっていた。そうだよな、あんな親でも流石に名前くらいは付けると思うよな。ま、結局誰もつけてくれなかったけどな。組織の奴ら以外は...すると、ネモフィラが急に手を叩きこう言った。しかも笑顔で、である。
「名前が無いなら、私が付けてもいいかしら?」
「え、えぇ..お願いします」
「じゃあ、貴方は今日からエビーネ・カーモミールって名前を名乗って?」
「エビーネ・カーモミール....いい名前ですね。ありがとうございます」
と俺がそういうと、ネモフィラは嬉しそうに微笑んだ。エビーネ・カーモミール..これが俺の名前だ。
〜感情がない最強の殺し屋が異世界転生〜 紫野 葉雪 @Hayuki1007
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