第50話
「2点目」
木田に視線を戻した。
木田は特に表情を変えてはいない。
しかし、彼は次の話に乗り気ではない気がした。
「お前には、一時的に"蜘蛛"へ行ってもらう」
「……はい」
…いやいや。
返事はしたけど。
命令は絶対だし。
でも。
………は?
"蜘蛛"?
同じ戦闘特化型組織ではあるが、ルナとは毛色が違いすぎる。
何より大きく違うのは、ルナの仕事はほとんどが敵の"
蜘蛛は敵の保護、場合によっては情報源の拷問を中心に動いている。"生かしながら戦う"スタイルなのだ。
人を殺しまくってる僕なんか必要ないだろうに。
「これは3組織の同意がある。
あくまで一時的な出向だ。ちゃんと帰ってこい」
「了解」
3組織とは、ルナ、表社会、蜘蛛だろう。
ルナも同意したのか。
なぜこんなタイミングに。
「質問よろしいですか」
「なんだ」
「出向は第一部隊ではなく、僕個人ということで正しいでしょうか」
「そうだ」
「わかりました」
これ以上僕が聞ける事はない。
何がしたいのかはわからないが、僕は今日から蜘蛛預かり。
何かの人質として?
いや、肉壁要因の僕に人質になる価値はない。
では欲しい情報があるのか。
これも僕は持っていないから、いくら拷問されたとて何も出ては来ないだろう。
一体なんの目的なのか。
普段表にも裏にも八方美人な蜘蛛が、
こんな血濡れた指揮官を所望する理由とは。
そこまでしなきゃならない事態になってる?
ルナがこの忙しい時に?
…考えても僕ができるのは推測だけ。
それも穴だらけの情報の中だけだ。
行ってみるしかない。
僕は装備を確認した後、蜘蛛の本部に向かって歩き出した。
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